ワンルームや1Kといった一人暮らし用の物件って、広さの割に「あれ、なんか家賃が高いな」と感じたことはありませんか?

なんか確かに2LDKは6万円で買えるのに、面積が3分の1であるワンルームだと3万円ってどう見ても高くない?
同じ条件で2LDKや3LDKといったファミリー向けの物件と比べると、1平米あたりの家賃が明らかに割高に設定されていることが多いんです。
「一人暮らしだからこそ、安く住めるはずなのに…」そう思うかもしれませんが
実はそこには、不動産業界ならではの明確な理由があるんです。
今回は、なぜワンルームや1Kが広さの割高になってしまうのか、その深層を探ってみましょう。
一人暮らし用の物件(ワンルームや1K)が割高な理由!



場所や経年年数と行ったよくありがちな理由とかは今回は触れず、ワンルームや1Kにおける特有なデメリットだけでみてあげていく
1. 設備が「一人に一台」設置されているから
一人暮らしの物件が割高になる最大の理由は、設備コストにあります。
「キッチンや風呂、トイレ、エアコンは、どの部屋にも付いているのが当たり前でしょ?」と思うかもしれません。



しかし、ここが落とし穴。
ワンルームや1Kのような一人暮らしの部屋には、一人分だけのためにキッチン、風呂、トイレがそれぞれ1セットずつ設置されています。
一方で、2LDKや3LDKといったファミリー物件を見てみましょう。
広さはワンルームの2倍、3倍とありますが、キッチン、風呂、トイレは基本的に家族全員で共同で使うため、やはり1セットです。



一軒家だとトイレが2つある場合があるけど、それでも1つが多い。



別に確かに2つ以上あってもな…ってなりますもんね
つまり、広さあたりの設備の数が、圧倒的に一人暮らし用の物件は多いのです。
例えば、
- ワンルーム(25平米): トイレ1、風呂1、キッチン1
- 2LDK(50平米): トイレ1、風呂1、キッチン1
この比較でわかるように、ワンルームは、広さが半分なのに、設備は同じだけ必要になります。



もちろん設備は小さく、スペック落とすことなるけど、トイレや風呂とかはあんまり変わらない!
でも実は裏側のほうが重要!
不動産の場合、土地代だけでなく、この設備にかかる費用(給排水管の工事、ユニットバスやキッチンの導入費用など)が非常に大きいんです。
オーナー側から見れば、広さの小さい部屋でも、設備投資額は大きい。
そのため、どうしても1平米あたりの家賃を高く設定せざるを得ないのです。
これは、一人暮らし向けの物件が実は「めちゃくちゃ贅沢な空間」であることの証明でもあります。
広い家に住む人たちが設備をシェアしているのに対し、一人暮らしはすべてを独占しているわけですから。
2. 引っ越しが頻繁で、空室リスクが高いから
ワンルームや1Kといった一人暮らし向けの物件は、入居者の入れ替わりが激しいという特徴があります。
「就職で上京したけど、転勤になった」「結婚することになった」「もっと広い家に引っ越したい」など、ライフスタイルの変化によって、長く住まない人が大半です。



学生だと3~4年、人によっては1~2年ぐらいですもんね…
つまり、オーナー側から見ると、この回転率の速さから見て明らかに空室リスクが非常に高いんです。



部屋が空室になると、その間は家賃収入がゼロになります。
加えて、新しい入居者を募集するための広告費や、退去後のクリーニング費用、設備の修繕費用など、「再募集にかかるコスト」も頻繁に発生します。
この高い空室リスクと頻繁な再募集コストをあらかじめ見込んで、家賃を割高に設定しているのです。
比較的長く安定して住んでくれるファミリー向けの物件よりも、リスクが高い分、家賃でそのリスクをヘッジしているわけですね。



ファミリーは子どもの負担の大きさもあるためかせいぜい最短でも2~3年に1回ぐらいで、実際にはもう少し長くいることが多い。
3. 建物全体の「土台」にかかるコストが高いから
これは少し分かりにくいかもしれませんが、建物全体にかかる「土台」のコストが、部屋の広さに関係なく発生するため、結果的に割高になるという側面があります。



これは、飲食店のメニューで例えると分かりやすいかもしれないな。
- 「少なめの量」の定食と「普通の量」の定食。
量が半分になっても、食器を洗う手間、レジを打つ手間、席を用意する手間など、「料理を提供する土台のコスト」はほとんど変わりません。
そのため、「少なめの量」の定食は、普通の量と比べて、量が半減しても価格は少ししか下がらない、という現象が起きます。



たしかに少なくしているけど全然安くならないのはこういうことか…



不動産も同じです。
ワンルームでも、エントランス、階段、廊下、エレベーター、建物の基礎、屋根、外壁といった、建物全体の「土台」となる共用部分の建設コストや維持管理費は発生します。
広さが小さいワンルームは、この「土台コスト」を部屋数で割った時の負担が、ファミリー物件よりも相対的に重くなります。
つまり、広さの小さい部屋は、広さの大きい部屋と同じ土台コストを背負っているため、1平米あたりの単価が高くなってしまうのです。
まとめ
ワンルームや1Kといった一人暮らし用の物件が割高なのは、決してオーナーの意地悪ではありません。
その裏には、
- キッチン、風呂、トイレといった贅沢な「一人一台」の設備コスト
- 入居者の入れ替わりが激しいことによる高い空室リスクと募集コスト
- 建物全体の「土台」となる固定コストの負担
といった、不動産経営における構造的な要因が複雑に絡み合っているからです。
「一人暮らしは自立!」という社会の価値観によって、多くの人が割高なワンルームに住まざるを得ない状況は、非常に非効率的だと言えます。
もしあなたがこれから一人暮らしを考えているなら、この「割高のカラクリ」を理解した上で、実家暮らしやルームシェア、あるいは郊外の広い物件なども含めて、本当に自分にとってコスパの良い選択肢は何なのかを、じっくり考えてみることをお勧めします。
今の時代、無理して割高な都会のワンルームに住むことだけが「正解」ではないはずですからね。