今回はBTO界の「高級外車」とも言える存在、Sycom(サイコム)についてお話しします。
PCを新調しようと調べていると、必ずと言っていいほど「サイコムは高い」という評判を目にします。
ダークネスそんな高くしたら売れないんじゃ…ええ!?
RTX 5070 Tiが51万円でRTX 5090が100万円超え!?
5090はまだわかるけど5070Tiでこれ~
これで商売成り立つの?



それが成り立つんだよね~!
高いものだからこそ、より高くする意味がSycomにはその強みを極めているんだ



あ!部長!お疲れ様です!
えーと、つまりはゴージャスにはゴージャスにしちゃえということなんですか?



やっぱゲーミングPCとかは長く過酷のような環境が多いからさ。それに最近はみんなコスパに行きがちなんだけど…盲点なんだよね
今回は、なぜサイコムが強気な価格設定なのか、その裏側にある「ガチすぎるこだわり」を深掘りしていきましょう。
SycomのPCはなぜ高いか?



そもそもなんだけどSycomは「価格重視」なんてしてないんだよはじめから。



価格重視をやらないんですか…



Sycom自体、ガチゲーマーが知るが知るのみスポット店なんだぞ
そもそも論として、Sycom(サイコム)を「コスパ重視のBTOメーカー」と比較すること自体がナンセンスです。
軽自動車とフェラーリを「どちらが安いか」で比べるようなものです。
戦っている土俵が根本的に違います。
サイコムは、いわゆる「安価なエントリー向けゲーミングPC」つまり「コスパ」にはあまり力を入れていません。
彼らが狙っているのは、もっと深いところにある「品質・安定・こだわり」の領域です。



なので真のBTOなんだよね
最近のBTOはなんだかBTOじゃないなと言う感じが多くなってきていますが、Sycomは歴然としてBTOらしさらしい雰囲気を残しています。
スペックのラインナップではなく、ケースや水冷で選ぶスタイル
普通のBTOサイトに行くと、「RTX 4060搭載モデル」「RTX 4070 Ti搭載モデル」といった具合に、中身の性能(スペック)から選ぶのが一般的ですよね。



ところが、Sycomは入り口からして違う。



早速序盤から違うスタイルなんですね





こんな感じで「PCとしてのコンセプトや筐体(ケース)」から選ぶスタイルなんだよね。



たしかにケースで選んでくださいねという感じだ。
パソコンのCPUとかも書かれてないし
というようにSycom(サイコム)は他のBTOが採用しているCPU+GPUのモデルラインナップは書かれていません。
だが代わりとして分かる人にはわかるマザーボードが書いたり、いろんなケースの中から好みのケースから選んでいくほどの種類が豊富に用意されています。
カスタマイズの種類が異常なほど豊富


最近の大手BTOは、製造コストを削るために「このケースにはこのマザーボードしか入りません」というガチガチの制限をかけていますが、Sycomはその逆。選べる自由度がとんでもないことになっています。
サイコムのカスタマイズ画面を開くと、PC好きならニヤリとしてしまうはずです。
コスパ重視のBTOでは、コスト削減のために詳細不明の安価なマザーボード(OEM品)が使われることが一般的ですが、サイコムは違います。


ASUSやASRock、MSIといった有名メーカーの、さらに「どのモデルか」まで指定して選べます。
同じRTX 5060でもMSIのOCやAsrockの標準などがありますし、マザボも同じメーカーでもクラスが異なることもあるんです。
Sycom(サイコム)が用意しているパーツは600種類以上と非常に多め。



でもこんなに多いと管理とか大変そう…



実際に種類の多さというのは「価格高騰」に受けるね
というのもパーツごとの仕入自体は少ないので、どうしても1個あたりの価格が高くなってしまうとか



コスパの良いBTOとかはもしかして少ない種類で大量仕入とか?



そうだぜ!仕入はコストに直結するから。
これ店舗経営だと基本中の基本だから覚えておいて



りょーかーい!
マザーボードは、PCの安定性や拡張性を決める「背骨」のようなもの。
ここを妥協したくないコアユーザーにとって、この選択肢の多さは唯一無二の強みです。
BTOでは珍しく、NVIDIA RTX 6000 Adaのような「業務用GPU(旧Quadro系)」も幅広く扱っています。
非常に高価で在庫リスクも高いパーツですが、AIやゲーム開発のような非常に高度なメモリを求めるクリエイターにもうれしい仕様。
もちろん圧倒的にカスタマイズの幅が広いです。
ガチすぎる水冷装備


サイコムの代名詞といえば、なんといっても「デュアル水冷」モデルです。
CPUだけでなく、ビデオカード(GPU)までも水冷化してしまうという徹底ぶり。
しかも、ただ既製品を積むだけでなく、オリジナルの加工を施して冷却性能を極限まで高めています。
ただし、この強力な冷却システムは、RTX 5090やCore i9といった「爆熱パーツ」を積んでこそ真価を発揮します。



調べると575wってもはや電子レンジよねw



実際の消費電力は違うけどそれに近いね。
本気の冷却はマジで必須クラス
だからあるんだよ
逆に、RTX 4060や省電力なRyzen 7 5700Xのようなパーツだと、空冷でも十分なので宝の持ち腐れになってしまうことも。
ハイエンドな性能を24時間フルパワーで安定させたい、そんなガチ勢のための装備です。
いちおう誤解がないように言うとそこまで性能が必要ない方向けの小型のPCケースや標準の商品も用意しています。



高級BTOだけど、いちおう
部品不足になったときの「保険料」として
これはあまり表立って語られませんが、サイコムには「部品欠品時の対応力」という強みがあります。
コスパ重視のBTOメーカーは、特定のパーツが在庫切れになると、即座に「品切れ」にするか、入荷まで数週間待たせることになります。
一方でサイコムは、万が一選んだパーツが不具合で欠品した場合、上位モデルや同等クラスの代用パーツで対応してくれる(アップグレード対応)というケースがまれに見られます。



基本的に在庫不足にならないように徹底的に管理はしているので基本的にはあまりないけどな。



でもメモリ高騰のようなことがあったら



今回のケースのようになると在庫切れが起こしやすいときは出やすい傾向ね。
高級ホテルの予約で、部屋が埋まっていたらスイートルームにアップグレードしてくれるような感覚ですね。
Sycomは配送が遅めで有名ですが、それでも45日以内には届けるというようには徹底していますし、今回のようなメモリ高騰でも仕入先の都合で間に合わないというときにはなるべく遅らせないように代用できるものを用意してくれるかもしれません。
この「何があっても高品質なものを届ける」という安心感への信頼が、価格に乗っているとも言えます。
労働環境への徹底したこだわり
これは買う側には直接関係ないように思えるかもしれませんが、労働環境は実は製品の質に直結しています。
Sycom(サイコム)はスタッフの労働環境や組み立て環境を非常に大切にしている傾向があります。
一本一本、熟練の職人が手作業で組み立て、厳しい動作テストを行う。



組み立てっててっきり機械でやっていると思ったけどそうじゃないんだ



だからこそ労働環境というのはめっちゃくちゃ重要になるんだ
土日はしっかり休む(配送が止まる)スタイルですが、その分、無理なスケジュールで雑な作業が行われるリスクが低いです。
また年末年始とかも休みが長くある傾向でしっかりとワークライフバランスを徹底的に実施しています。
「幸せな人が作ったPCは、壊れにくい」というのは言い過ぎかもしれませんが、丁寧な仕事は間違いなく製品の信頼性に跳ね返ってきます。
どういう人がおすすめになるか?



ここまでSycomがいかに質に対して大切にしてきたかわかったけど、部長的にはどういった人がおすすめかな?
ハイエンドPCを検討している人
やっぱり冷却性能と静音性の高さな売りなSycomのPCはハイエンドユーザーにとって魅力な選択肢です。
特にRTX 5070 Ti以上の300wを超える高性能GPUモデルを狙っているなら、サイコムの冷却性能は大きな武器になります。
熱による性能低下(サーマルスロットリング)を気にせず、常に全力で作業に没頭できます。
自作PCのようなこだわりを持って買いたい人
「中身のパーツがどこのメーカーか分からないのは不安」「自分でお気に入りのマザーボードやケースを指定したい」という人にとって、サイコムは最高の選択肢です。
とくにマザーボードやGPUとかはガチ勢からすればめちゃくちゃ重要な要素だし、やはり知りたくなるじゃないですか?
コスパは抜きにして、マザーボードとかはのちのPCを長く使う要素では拡張性とかSSDやキャプチャーボードの増設などこの点はどんな人にも性能以上に重要な要素。
ケースは豊富と言えないが、種類はそれなりにありどれも余り見かけなさそうな見た目なのでBTOメーカーというようなはっきりとした見た目とはわかりにくい感じになっています。
逆にSycomが合わない人



逆にこういう人はSycomは合わないね
コスパ至上主義の人
「1円でも安く、同じスペックのPCが欲しい」というニーズには全く合いません。



まあそれはそうね!
実際に価格もRTX 5060搭載モデルでも20万円は超えてくるので、安いGPUほど割高かもしれません。
ただ、主流のデュアル水冷以外にも廉価モデルもあり、組み合わせ次第では意外にもコスパが良くコスパBTOとあまり変わらない場合もあるほか、後に記事にしますがSycomは商品購入で数少ない障害者割引があるので人によってむしろ相対的に割安になることも。
基本的にブランド料やこだわり料を払う価値を感じないなら、コスパ重視のBTOを選んだほうが幸せになれます。
配送を急かしたい人
サイコムの納期は、時期にもよりますが、丁寧な作業と土日休みを挟むため、基本的に手元に届くまで時間がかかります。
とはいえ45日以内には届くようには徹底しているし、納品は早すぎず遅すぎとも調整はしています。
例えば「昨日PCが壊れたから、明日には新しいのが欲しい!」という緊急事態には向きません。



どうしてもサイコムのPCが欲しいけど、今のPCが死んでて仕事にならない……という場合は、1ヶ月だけPCレンタルサービスを利用して繋ぐというのも賢い方法です。数万円の出費で、納得のいく「一生モノのPC」を待つ価値は十分ありますよ。
まとめ
SycomのPCが高いのは、ボッタクっているからではありません。
そもそもぼったくっていたらそこまで支持するわけではないし、高いのに支持するにはこういった納得できる理由があるのです。
- 選べるパーツの質が極めて高いから
- 他社が真似できない究極の冷却システムを積んでいるから
- 熟練の職人が、時間をかけて1台ずつ丁寧に組んでいるから



ということなんだ!Sycomのことよーくわかったかな?
一見、時代遅れに見える「手間暇をかける」というスタイルこそが、現代のクリエイターやコアゲーマーに必要とされている価値なんです。


