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にゃももしばぬん先生、最近ずっとモヤモヤしてることがあって……。東京で働いてる友達に「毎日何してるの?」って聞くと「会議と報告書と承認待ち」って返ってくるのよね。それって仕事なの……? めちゃくちゃ忙しそうなのに、何を生み出してるのかよくわからなくて。



にゃもも、それはすごく本質的な疑問だぞ。実は今日はそのテーマをガッツリ掘るつもりだったんだ。結論から言うと、東京に集まっている仕事の大半は、社会的価値が低いか、AI時代にはもう必要ないか、どちらかだ。



え、そんなに言い切って大丈夫……? 批判されない?



批判されるかもしれんが、事実だから仕方ない。しかもこれは私の個人的な感想じゃなくて、世界的に議論されてる「ブルシットジョブ論」に裏付けられた話なんだ。今日はそこを、挑発的だが根拠ある構造論で整理していくぞ。先に断っておくが、「働くこと自体が悪い」という話じゃない。「その仕事、本当に価値を生んでるのか?」を問い直せ、という話だ。
1. 「忙しいのに何も生んでいない」感覚の正体



まず、にゃももが抱えてるそのモヤモヤから解きほぐそう。東京で働く会社員のSNSや日記を観察すると、こういう発言が異常に多い。
- 「今日も会議で一日が終わった」
- 「稟議書を3回差し戻されて疲れた」
- 「結局誰も読まない報告書を書いてる」
- 「上司の上司の承認待ちで何も進まない」
- 「社内調整だけで週が終わる」



うわ、全部聞いたことあるやつ……。



これらに共通するのは、外部に何の価値も届けていないという点だ。社内で書類が右から左に流れ、ハンコが押され、会議室が埋まる。それだけで給料が発生し、タワマンに住めて、東京の経済は回っている。でも、冷静に見ると誰の生活も便利にしていないし、誰の問題も解決していない。



うう……耳が痛い人、多そう。



この感覚には名前がついている。ブルシットジョブ——日本語で言えば「クソどうでもいい仕事」だ。
2. ブルシットジョブ論とは何か



これを提唱したのは、アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバー。2018年に出版された『Bullshit Jobs』(邦訳『ブルシット・ジョブ——クソどうでもいい仕事の理論』岩波書店) は世界的ベストセラーになった。



具体的にはどういう理論なの?



グレーバーの定義はこうだ。「あまりにも無意味で、不必要で、有害でさえあるため、従事している本人でさえその存在を正当化できないような仕事」——これがブルシットジョブだ。そしてグレーバーは、これを5つに分類している。
| 分類 | 内容 | 例 |
|——|——|—–|
| 取り巻き(flunkies) | 誰かを偉そうに見せるためだけの仕事 | 受付係、重役の秘書の秘書 |
| 脅し屋(goons) | 他社に対抗するためだけの仕事 | 広告代理店、企業法務、テレアポ |
| 尻ぬぐい(duct tapers) | そもそも存在すべきでない問題を繕う仕事 | システム不具合のクレーム受付 |
| 書類穴埋め(box tickers) | 組織が何かをやってるフリをする書類作業 | コンプラ報告書、社内監査、議事録作成 |
| タスクマスター(taskmasters) | 不要な仕事を他人に作り出す仕事 | 中間管理職の一部、PMO的ポジション |



ちょっと待って……これ、東京の会社員の大半がどれかに当てはまりそう……?



するどいな。グレーバーの調査では、先進国の労働者の約37〜40%が「自分の仕事は社会に意味のある貢献をしていない」と自覚している。YouGovのイギリス調査でも同じ結果が出ている。つまり3人に1人以上が「自分の仕事は無駄」と内心気づいている。



自覚してるのにやり続けてるの……?



そうだ。なぜなら給料が出るからだ。そしてここが重要なんだが、ブルシットジョブほど給料が高い傾向があることも、グレーバーは指摘している。本当に社会に必要な仕事——介護、保育、清掃、運送——の方が安く、書類を右から左に流す仕事の方が高給なんだ。
3. 東京的オフィスワークの実態——稟議・会議・報告書の共和国



ここから東京の話に戻そう。日本の大企業、とくに東京本社のオフィスワークは、世界的に見てもブルシットジョブの比率が異常に高いと言われている。



なんで日本が特にひどいの?



いくつか理由がある。
① 稟議文化
一つの決裁に10個以上のハンコが必要な会社はいまだに珍しくない。この「ハンコリレー」の各ステップで、内容をほぼ理解していない人が「確認」だけして回している。紙がデジタルに変わっただけで、本質は同じだ。
② 会議依存
日本企業の会議時間は世界トップクラス。パーソル総研の調査では、日本の会社員は週平均で約15時間を会議に使っている。しかもそのうち「無駄だった」と感じる会議が約3〜4割。つまり週5〜6時間は”無駄会議”に人生を溶かしている。
③ 社内向け資料の肥大化
役員説明用のパワーポイント、部長報告用の週報、事業部間の進捗共有……これらは一人の顧客の人生も変えない。でも作るのに丸一日かかる。そしてそれが何十人分も積み重なっている。
④ 調整コストの膨張
「◯◯部の〜さんにも一応共有しておきましょう」「△△部長の意向も聞いておかないと」——この「一応」「念のため」が東京オフィスの時間を食いつくしている。



聞いてるだけで消耗する……。



これらは全部、グレーバーの分類で言う「書類穴埋め」「タスクマスター」に該当する。つまり、東京のオフィスはブルシットジョブの世界的集積地と言っても過言じゃない。
4. AI・リモートで消える職種のリアル



でも、最近はAIがどんどん普及してるよね? そういう仕事って、AIが肩代わりしてくれるんじゃないの?



いい視点だ。そしてここが今日の核心の一つだ。ブルシットジョブは、まさにAIが最も得意とする領域なんだ。



どういうこと?



考えてみろ。「書類を書く」「会議を要約する」「メールを返す」「データを転記する」「資料を整える」——これ全部、2026年現在のAIがすでに人間より速く正確にこなす。
2025〜2026年時点ですでに代替が進んでいる職種:
| 職種 | AIによる代替状況 |
|——|——————|
| 経理・会計事務 | 仕訳・請求書処理・経費精算はAI+RPAでほぼ自動化可能 |
| 秘書・アシスタント | スケジュール調整・議事録・メール下書きはAIが瞬殺 |
| 営業事務 | 見積書・契約書の作成、顧客データ管理はAIが代行 |
| コールセンター | 一次対応はAIチャットボット、複雑案件のみ人間 |
| 翻訳・通訳(定型) | ビジネス翻訳はAIで十分、専門翻訳のみ残る |
| 法務アシスタント | 契約書のリーガルチェック、条項比較はAIが秒殺 |
| 中間管理職の一部 | 進捗確認・レポート作成・調整業務はAIで置換可能 |



経理・秘書・営業事務……これ、東京のオフィスビルにめちゃくちゃたくさんいる職種じゃない……?



そうだ。そして、これらの多くがブルシットジョブの「書類穴埋め」「取り巻き」「尻ぬぐい」に該当する。つまり、”無駄な仕事”と”AIに代替される仕事”は、ほぼ同じ集合なんだ。AI時代の到来は、偶然じゃなくて必然的に、無駄な仕事を炙り出している。



逆に残る仕事って?



こういう方向性だ。
- 身体性が必要な仕事:介護、医療、建設、調理、整備、配送
- 創造性とオリジナリティが必要な仕事:作家、クリエイター、研究者、新規事業
- 対人信頼が不可欠な仕事:カウンセラー、教育、コーチング、商談
- AIを使いこなす側の仕事:プロンプト設計、AI運用、AIと協業する専門職



あれ……これって東京に集中してる職種じゃなくない? 介護も建設も地方にたくさんあるし、クリエイターはどこでも仕事できるし。



鋭いぞ。残る仕事ほど、東京である必要性が薄い。逆に、消える仕事ほど東京に集中していた。これが東京一極集中の構造的な問題だ。
5. 2026年の状況——減る仕事と増える仕事



では2026年現在、どういう変化が起きているか整理しよう。OECD・経産省・リクルートワークス研究所の各レポートを総合すると、こんなトレンドが見える。
【減っている・減る仕事】
- 大企業本社の間接部門(経理・人事事務・総務の定型業務)
- 広告代理店のミドル層(デジタル広告の自動化で削減進行)
- 金融機関の一般職・窓口(デジタルバンキング化)
- 出版・メディアの編集アシスタント(AI文章生成で代替)
- コンサルの下位レイヤー(資料作成はAIで十分)
【増えている・増える仕事】
- AIプロダクト開発エンジニア
- クリエイター系(個人IP保有者・発信者)
- 介護・医療・保育(人口動態上の必須職)
- 建設・インフラ保全(老朽化対応・人手不足)
- 専門職フリーランス(高度な専門性を持つ個人)



減るリスト、全部東京オフィスのイメージだね……。



その通りだ。そして残酷なのは、東京のオフィスビルと家賃相場は、この減るリストの仕事が満員だった時代に合わせて設計されているということだ。渋谷・六本木・大手町・汐留——これらのビル群は、ブルシットジョブの聖地として建てられ、その需要が消えていく10年間を、今まさに歩いている。



……聖地、言い方ひどいけど、否定できない。
6. それでも東京で働く意味は何か?を自問するフレーム



ここで一旦、バランスを取ろう。東京で働くことの意味があるケースもちゃんと存在する。
東京で働く価値が残る職種・状況:
- 業界コミュニティが物理的に必要な仕事:金融トレーダー、一部の投資業務、高級エンタメ
- 最先端の情報と人脈が成果に直結する仕事:スタートアップ創業、ベンチャーキャピタル
- 物理的な集積が競争力になる仕事:一部の研究開発、高度専門医療
- クライアントが東京に集中している対面ビジネス:高単価コンサル、M&Aアドバイザリー



これは「納得感ある東京」だね。



そうだ。これらは東京の人口・情報密度が競争力に変換される仕事だ。問題は、東京で働く人の大半がこのリストに入っていないということ。



だから、自分の仕事について、こう問い直してみてほしい。
【自問フレーム】
1. 自分の仕事が消えても、顧客の誰かが困るか?
2. 自分の成果物は、東京にいないと生み出せないのか?
3. 今の仕事は、10年後もAIに代替されず残っていると確信できるか?
4. 自分は社内のためでなく社外のために動いているか?
5. 自分の給料は、作った価値から払われているか、場所代の再分配か?



うわ……重い。これ、ほとんどの人が「全部YES」って言えないやつじゃない?



そこが今日の一番伝えたい点だ。このフレームに照らして3つ以上NOがつくなら、その仕事はブルシットジョブ予備軍、あるいはすでにブルシットジョブになっている可能性が高い。
7. 仕事の”価値”を疑う習慣を持とう——風の時代の働き方



しばぬん先生、じゃあ結局、どうすればいいの? 今すぐ会社辞めろって話じゃないよね……?



違う。今日すぐ辞めろという話じゃない。今日伝えたいのは「疑う習慣」を持つことだ。
「疑う習慣」3つのステップ:
① 自分の仕事を棚卸しする
月に1回でいい。「今月自分がやった仕事のうち、外部の誰かの役に立ったのは何%か」を数字で出してみる。半分以上が社内資料・社内会議・社内調整だったら、すでに危険信号だ。
② 自分のスキルがAI時代に通用するか検証する
「私の仕事、AIに頼んだら何分で終わる?」を定期的にテストする。ChatGPTやClaudeに自分の業務を丸ごと渡して、出力を見てみる。8割方同じクオリティで出てきたら、もう代替準備完了だ。
③ 副業・個人活動で「価値を直接届ける経験」を作る
会社の看板なしで、誰かから直接お金をもらってみる。noteで記事を売る、BOOTHでコンテンツを売る、スキル販売でもいい。“場所代”や”肩書き”ではなく、”作ったもの”で対価を得る体験を持っておくと、会社の給料の正体がわかるようになる。



最後のやつ、けっこう勇気いるけど……意味ありそう。



重要なのは、時代が「土の時代(組織・土地・ハコ)」から「風の時代(個人・情報・移動)」に移行していることだ。東京の巨大オフィスは土の時代の遺産で、ブルシットジョブはその象徴。これからは「どこでも・誰でも・個人で価値を作れる」が前提になる。



なるほど、風の時代って、まさに”東京オフィスの時代の終わり”でもあるんだね。



そうだ。そして、これは脅しじゃなくてチャンスでもある。無駄な仕事に埋められていた時間を、自分の価値創造に回せる時代になってきた。AIは仕事を奪う敵じゃなく、ブルシットジョブから人間を解放してくれる道具だ。
8. 結論——東京の仕事の大半は無駄、でも無駄だと気づけば逆転できる



今日のポイントをまとめるぞ。
1. 東京のオフィスワークの多くはブルシットジョブ(書類・会議・調整・承認)
2. グレーバーの調査で3〜4割が「自分の仕事は無意味」と自覚している
3. 日本企業は稟議・会議・社内資料で無駄時間が世界最多レベル
4. AI時代は、無駄な仕事から順に代替されていく
5. 残る仕事ほど東京である必要性が薄い(介護・クリエイター・専門職は場所を選ばない)
6. 自問フレームで3つ以上NOがついたら、ブルシットジョブ予備軍
7. 「疑う習慣」を持ち、副業で”作ったもので対価を得る”体験を作れ
8. 時代は土から風へ——東京オフィスの時代は静かに終わりつつある



うーん……最初は挑発的に聞こえたけど、聞き終わってみると、なんだか希望がある話だったかも。



そうだろう? 「東京の仕事の大半は無駄」は、ネガティブな現状認識じゃなくて、ポジティブな前提条件だ。無駄だと気づけば、そこから抜け出せる。気づかなければ、AIに代替されるまで気づかない。この差は10年後にとんでもなく大きくなる。



わたし、自分の仕事を「誰の役に立ってるか」って視点で見直してみる。それだけでも、だいぶ違うかも。



それでいい。仕事の”忙しさ”と”価値”は別物だ。東京は忙しさを生み出す装置としては優秀だが、価値を生み出す装置としては、すでに機能不全を起こしている部分が大きい。だからこそ、「自分は何のために働いているか」を問い直す習慣こそが、これからの時代の最強のスキルになる。今日はそこを覚えて帰ってくれ。
出典・参考文献
- デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ——クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店、2020年)
- YouGov「Meaningfulness of Work Survey」(英国、2015年/2022年追跡調査)
- パーソル総合研究所「会議の実態に関する調査」(2023年)
- OECD「Future of Work Report」(2024年)
- 経済産業省「AI人材・DX人材需給試算」(2025年版)
- リクルートワークス研究所「Works Report 2025」
- 総務省「労働力調査」(2025年)
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※本記事は特定の職業・企業を否定する目的のものではなく、働き方と価値創造を問い直すための論考です。キャリア判断はご自身の状況を踏まえ、慎重にご検討ください。

