決算でお決まりの第3問の問題は、簿記3級では基礎的なものが多く満点を狙いやすいものでした。
しかし、簿記2級における第3問は別格と言ってもいいほど難易度が上がっています。

ちょっと!!なんでこんな意地悪な問題出してくるのよ!!
というように毎年、第3問は受験者泣かしの問題の一つと言えるほど難関問題です。
なぜ、第3問が難しくて、どうやったら対応できるのかを解説していきます。
簿記2級の第3問の特徴
簿記3級に引き続き、第3問は個別の決算問題がほぼ確実に出題されます。
まず、前提としてこの問題はほとんど3級からの延長線という形で出題されるため、簿記3級の問題を解けるようにならないと無理と言ってもいいでしょう。



その点、できないのであれば簿記3級からやり直しってことでいいのかしら



どの問題もそうだが、第3問は特に3級の成績による評価が大きいから、第3問が30点は取っておかないと厳しい。
ただし、2級で新たに追加された「報告式」があったり、「本支店会計」や「税効果会計」などもあるので、難易度は格段に高くなっています。
第3問の出題範囲
第3問は前述の通り、決算問題なので3級と同じく大きな形で1個しか出題されません。
なお、範囲が広く、細かい解説が必要とするので中項目で解説していきます。
方式
簿記3級では「勘定式」という決算問題が出題されましたが
簿記2級では新たに「報告式」が加えられています。
基本的に処理方法では勘定式と同じですが、最大の違いは「損益計算書」が勘定式ではB/Sと同じように仕分けしたのに対して、報告式では縦長の計算する方式になっています。
計算式
2級の問題でも精算表もしくは財務諸表が出題されますが
多くは報告式の財務諸表が出題される傾向なので、そちらを覚えておきましょう。
業種・種類による会計
業種や種類による会計は概ね5つほど発生します。
- 一般的な会計
- 本支店会計
- 製造業会計
- サービス業会計
- 税効果会計



簿記2級でよく出るのが一般と本支店と税効果のみ。
あとの2つは滅多に来ないので基本はこの3種類の会計が多い。
この中で一番厄介なのが「税効果会計」です。
税効果会計自体はそこまで多く出てきませんが
たまに有価証券や減価償却で税金関係が発生するため要注意です。
また、税効果会計が入っている場合だと、税引前当期純利益という項目もあり、計算が複雑になってかなり厄介です。



税効果があるかないかだけで全然難易度が違うと言ってもいい!
また、本支店会計に関しても本店と支店を合体して計算するのでいちいち電卓をしなければならない点には注意が必要です。



アララ・・・第3問って見事に1級の論点で結構難しくなっているのね・・・



第3問は簿記1級から降りてきた論点が中心になっていてかなり難しいよ
処理事項
簿記2級における処理事項は「未処理事項」と「決算整理事項」の2つあります。
未処理事項というのは決算前に処理するすべきなところが、まだ行っていなかったこと意味します。
主に帳簿の記載漏れや売上基準による判定なしによる内容です。
記載漏れや売上基準などの判定無しであれば決算時じゃなくてもできることや、実務上正確な数値を出すためにはできるだけその時にやっておきたいものなので、未処理事項を多くだすのはあまり良くありません。
一方で決算処理事項は決算時じゃないとできない内容で、主に仕入や繰越商品の調整、有価証券の現在の価値など、そのときでしか判断できない際に整理します
まず、出題する際は「未処理事項」から必ず行わなくてはなりません。
未処理から行わないと正確の金額が表すことができないからです。
その際に未処理時効で行った修正後の金額に応じて決算整理事項が行われます。



コツとして、未処理事項と決算整理事項は絶対に一緒にやってはいけない。
一緒にやると、金額がおかしくなるので絶対にNGです
出題する細かい論点
第3問では以下のような論点が出題することが多いです。
赤字は未処理事項、黒字と青字(最近は少ない)は決算整理事項となっています。
- 売り上げ判定
- 銀行勘定調整表
- 本支店の不一致修正問題
- 手形の割引
- 吸収合併
- 今年度導入の車両や備品の帳簿と減価償却
- 仕入・繰り越し商品(減耗・評価損も含む)
- 売上債権における貸倒引当金
- 現金過不足から雑損処理
- 減価償却(全部出てくる)
- ソフトウェア償却
- 負債の引当金
- 前払金、長期前払金等
- 有価証券関係(売買目的とその他が多い傾向)
- のれん関連
- 税効果会計(最近は少ない?)



黄色の線が引かれているのはほぼ毎回出てくる論点だから、必ず覚えておきたい!
出題によっては半分版しかないものもある



そういえばたまーに半分しかないものもあるよね??
また、CBT試験の特有なのかどうかは不明だが、3級の場合では貸借対照表と損益計算書の両方を出ていましたが、2級でもどちらかになるか、あるいは両方だったりします。
その半分しかないのが、計算的に余計に難しくなります。
なので正しい仕訳をきちんと行えるが重要なポイントになります。
第3問が難しい理由
ここまで第3問の出題傾向を解説していきましたが
これだけ見ると難しい問題であることは間違いありません。
なぜ難しいのかを具体的に解説していきます。
問題のボリューム量がとてつもなく多いから
第3問が難しい理由の一つが、そもそも決算問題であるためボリュームが多いです。
そのため、解くまでの時間がかかりコスパが悪いと言える問題です。
1級の論点が優先的に使われる傾向
今までの解説で見ると、第3問は旧簿記1級であった論点が多く使われていることが多いです。
当然ですが、これらは難しい論点であり経験を持つものじゃないと解きにくいです。
本支店会計や有価証券、外資建て取引などは割と頻繁に来るため、2級というより1級寄りという感じが強いです。
計算量も多い
決算問題は計算量が多いのも特徴です。
そのため、電卓の技術や簿記3級の十分な熟知が欠かせないと言えます。
電卓の技術や簿記3級問題が未熟だと第3問はほぼ確実に解けないと思ってもいいです。
それほど複雑な計算が多い第3問ですので、使いこなしておきたいです。
極端な問題が出やすい
CBT試験では少ない傾向ですので、あまり気にしなくても良いですが
団体試験で統一試験を受ける際は極端な問題が出やすいことに注意が必要です。
というのも過去の試験で第157回や第151回では合格率が10%を下回るという鬼レベルな試験でした。
その中でいずれも第3問が当てはまっていて、公認会計士であっても苦戦すると言われるほどなので、これらは極端に難しいものでした。
如何にも第3問が受験者の中では泣かせ問題と言われるのは、ただでさえ1級の論点が多く入って難しいのに公認会計士以上のレベルと言われる見えない問題が入ってくることが原因とされています。
第3問対策
難しい問題である第3問はどういうふうに対策すればいいのかを解説していきます。
解く順番は最後から2番目


第3問は基本的に試験の中でも複雑で難しい論点と言えます。
そのため、第2問の次第により1番最後になるか、あとから2番めに位置することが合格への鉄則です
問題次第なので一概に言えませんが、第2問が株主資本等変動計算書であれば第3問は一番最後に解くことをお勧めします。
仕訳ごとに計算を忘れずに
仕訳をしたら、その後の数字修正を忘れないように意識しておきましょう。
まとめて計算処理をしてしまうと計上ミスしてしまうため、面倒だけど確実のために毎回毎回計上修正を行っていきましょう
税効果など難しい問題は切り捨てる
第3問は難しい問題が来ることが多いので、思い切って特定の論点を捨ててしまうのも手です。
特に税効果会計はかなり難しく、とても90分の試験では乗り切るのが厳しいです。
簿記の試験はたしかに重要ですが、ぶっちゃけ模擬試験でいきなり初回で80点ぐらい取れる見込みがあるなら、とっとと次に進んだほうが早いと思います。
まとめ


今回は簿記2級の第3問の問題を解説していきました。
1記事が長いといえるほどのボリュームであり、非常に難しい論点と言えます。
簿記2級の第3問をまとめますと
- 基本的な解き方は簿記3級の第3問と同じ
- 第3問は簿記1級の論点が多く入っている傾向で、解くのが難しい
- 第3問の多くは「一般会計」と「本支店会計」がほとんど占める
- 難しすぎるのか、第3問の問題の中には半分だけの財務諸表しか解かない場合がある。
- 簿記3級を余裕で合格できる前提であること
- 第3問は基本的に後回しで解く
- 仕訳ごとにこまめに修正後の計算を行う
- 難しい問題は時間の無駄なので切り捨てる
というように第3問を自身持って対策していきましょう!
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