
簿記2級の問題また不合格になりました。
2級と言って一般クラスに簡単だと思ってましたが、かなり難しかったです。
ある程度は勉強したんですが、あまりにも難しすぎて理解ができないです、どうすれば合格できるのか教えてもらいたいです。
という内容で「簿記2級の難しい原因と合格できる方法」を解説していきます。
- 簿記2級をこれから始める方
- 簿記2級になかなか合格しなくて苦戦中の方
- 簿記2級はどんな出題されるのか知りたい
簿記2級の内容


まず、そもそも日本商工会議所の簿記2級というのはどういった内容なのかといえば以下の通りです。
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
つまりは、簿記2級は企業におけるスタンダードな試験というものです。
簿記2級は転職においても転職におけるパスポートの一つとされており、中小企業から大企業・会計事務所まで様々なところに役立ちます。
商業簿記
商業簿記は基本的に、2級の続きとなり、3級の要素に加えて以下のような論点が増えます。
- 今までの簿記3級の論点
※ただし伝票系、小口現金、補助簿は出てこない - 総平均法
- 商品の評価損と減耗損
- 減価償却費
- 固定資産の除去と廃棄
- 火災損失
- 手形の裏書譲渡
- 手形の割引
- 不渡手形
- 銀行勘定調整表
- 有価証券
- サービス業会計
- 製造業会計
- 基本的な連結会計
これだけ見れば論点がかなり増えてきたことがおわかりいただけるだろう。
工業簿記(原価計算)
工業簿記は簿記2級で初めて登場する大きなジャンルの一つ。
多くの方はおそらく、簿記3級の時のようにゼロから学ぶとされていますが、簿記の基本代わりにはないので感覚をつかめればわりとクリアできます。
工業簿記は工場や製造業、それ以外に小売店などで「パンや「弁当」を作る際にも有用です。
内容的にはこんな感じです。
- 工業簿記の基本(仕組みなど)
- 材料・賃金、経費といった直接経費
- 製造間接費
- 製品売買
- 個別原価計算
- 総合原価計算
- 製造原価計算書
- 損益計算書
- CVP分析
- 本社工場会計
工業簿記の最大の特徴は商業簿記にはない勘定連絡図。
これがいまどこにあるのかを知っておかかれば解くことができません。



工業簿記は今自分がどこにいるのかがすごく大事!
その場所にいるところを把握しないと解けない!
ので計算はどっちみち必要です。
簿記2級の問題構成
簿記2級の問題は大問1~5に分類され、そのうち第1問~第3問が商業簿記、第4問、第5問が工業簿記が出題されます。
詳しいことはこちらに記載していきます!


簿記2級のルール
CBT試験・統一試験とともに制限時間は90分です。



改正前は確か120分だったね…なんで短くしたんだろう?
また、158回目の統一試験以降、もしくはCBT試験では問題用紙が返却され、現在は問題集を持ち帰りができなくなっています。



これは第157回の鬼門における炎上のあおりを受けて、持ち帰りをしなくなったんだとか
なお、2023年4月以降は原則として個人が試験を受けるにはCBT試験のみとされており、統一試験では団体試験じゃないとできなくなっています。



むしろ、受けやすくなっているので意外とデメリットは感じないかもしれない!
持ち物
持ち物は電卓は持ち込み可能です。
ただし、特殊な電卓は不可能ですので、普通の電卓を使いましょう。
音を立てるものもNGです。



100円の電卓とかOKなのかな?



禁止になってないからOKだけど、入力しやすさも大事なポイントだからあんまりおすすめしない。


また、統一試験であれば筆記用具も必須です。
CBT試験では試験場でメモ用紙とペンが用意されるので不要になります、
なぜ簿記2級は難しいのか?


さて、ここまで簿記2級における基本的な解説が終わったので本題に入ります。
なぜ、簿記2級が難しい試験といわれるほどなのか?
これには8つの原因があるためです。
勉強時間が長いから
まず、簿記2級の難易度は3級に比べて格段に難しくなります。
それに伴って2級の勉強推定時間が最低150時間、平均で300時間になっていきます。
簿記2級の論点は3級のものが引き継がれる前提なので、いきなり2級を受けるのも無理といってもいいです。
工業簿記そのものが難しい
工業簿記は商業簿記に比べて、最初から内容が深いため難しいです。
また、見慣れない単語もほとんどのため、その単語はどういったものなのかを理解するさえ難しいでしょう。
有価証券の種類が複雑
かつては3級の論点でしたが、格上げされ2級の論点になっています。
FPであれば「株式投資」や「投資信託」といった、わかりやすくてシンプルに作ることができますが
一方で簿記の場合は「株式投資」や「投資信託」といった勘定項目は使えません。
代わりとして「売買目的有価証券」や「その他有価証券」、「満期所有目的債権」、「子会社株式」が出てきます。



つまりは簿記においては投資商品そのものじゃなく、目的別に勘定を分けなくてはいけないということです。
また、FPの場合は買ったときの価格で評価しますが、簿記の場合は決算時において毎回毎回修正しなくてはなりません。
しかも先ほど言った目的別の証券は、計上する内容が異なります。
売買目的であれば決算時において評価修正、満期債権であれば利息などをいろいろ考慮しなくてはなりません。
特にその他有価証券が一番難しく、決算時において「その他有価証券評価差額金」というものがありますが
経費利益ではなく、純資産として扱われるため、立ち位置までも気を使わなくてはなりません。
とのことから有価証券は問題の中でも比較的難しいです。
リース資産が複雑
簿記1級から降りてきた論点です
リース資産のうち一部の借り手側の論点のみ入っており、量的にはあまり多くありません。
しかし、内容が内容で少ない割に理解が難しいです。
というのも他の相手が絡む取引なものなので、仕訳などが少々複雑だからです。
そのため、多少は勉強しなくてはいけない論点と言えるでしょう。
本支店会計
本支店会計も1級から降りてきた論点です。
過去の履歴で見れば1級では連結会計メインだったこともありほとんど出てきませんでしたが
2級になってからは半分の確立で第1・3問で出題されるようになりました。
税効果会計が理解しにくい
税効果会計もかつては1級の論点でしたが、半数以上が2級に降りてきています。
なお、税効果会計は基本的に出てくるのは個別の財務諸表だけにとどまり、連結には出てきません。
税効果会計は確定申告をしている人じゃないと完全に理解がわからない論点とされており、この論点も非常に厄介です。
税効果会計の中でも「減価償却の上限」や「繰延税金資産/負債」「法人税調整額」が難しいです。
税法の理解をしておかないと解けないのでしっかりと勉強しておきましょう。
連結会計はラスボス
連結会計もかつて1級の論点でしたが、4分の1にあたる論点が2級に来ています。
しかし、少しながらも連結会計そのものは非常に難しく、なかなか理解や回答ができないです。
そのため公認会計士の人からでも連結会計はラスボスとされているそうです。



えー!?公認会計士でも頭を悩ますのかこれ!!



だから、簿記2級受験の時にこの問題が出てくると泣き寝入りする受験者も多いんだ
連結会計は「連結精算表」や「連結財務諸表・損益計算書」、「連結株主等変動計算書」がでてきます。
修正仕訳も非常に多いうえに、開始仕訳といったものやのれん償却といったのも時期を見極めて確認も必要になります。
そしてもっと厄介なのが有価証券関連であり、さきほど有価証券でも出てきた「子会社株式」は主にここで使われます。
その中で100パーセント所有であれば割と簡単にできてしまうのですが
本当に難しいのは100パーセントじゃない、つまり部分的所有時です。
そのなかでも計算でやっかいになるのが「非支配株主持ち分」や「非支配株主に帰属する当期純利益」です。
これらは基本的に子会社の中でも持ってないという扱いなので計算上除外をしなくてはならないのです。
さらには、連結会計において成果連結の中に子会社に商売する「ダウンストリーム」と子会社の商品を買う「アップストリーム」があり、アップストリームの場合、非支配株主持ち分を含めなくてはならないです。
これだけでも頭を痛くなるものですが
さらに厄介なのがそもそも子会社の株を何パーセントと記載されているのか、何株が親会社を持っているのかを確認しておかなくてはなりません。
基本的に100パーセントが全部なので、所有株の場合は所有割合をきちんと見極めていく必要があります。
というように軽く説明をするだけでも長い連結会計はどれほど難しいのかはお判りいただけたでしょうか?



うわーもう頭パンパンだよ!
しかし、実際に出題される頻度も高く、実務においても非常に多く使われることから、切り捨てて乗り越えようというのはほぼ不可能に近いです。



逆に考えれば、難しいけどメリットも大きいのだ
また、1パターンしかないので、ある意味先の長い1本道と例えるとわかりやすい
2級の問題は3回に1度ぐらいに出てきますが、1級だとほぼまちがいなく確実に出てきます。
なので、1級を受ける際は2級の連結会計を解いておかないとまず戦略的に厳しいでしょう。
範囲が広くて出題されないものもある
ここまでいろいろと合格できない論点や出題するものも言いました。
しかし、実際に受験時間はたったの90分しかありません。
そのため必ずしもこの論点は絶対に出てくるというわけじゃないのです。
簿記3級では範囲が狭く、いずれもよく論点がよくて来ましたが
簿記2級になると、あまりにも範囲が広すぎるため、出題されない論点も必ず出てきます。
実は無駄なところを重点的にやって、本当は重要だけど余りてつけてなくて不合格というよくあったりします。
簿記2級でも緩急をつけた試験対策をしておかないとなかなか合格できません。
ただし、工業簿記はいずれも出てくるのでまんべんなくやっておきましょう
簿記2級対策
内容で見たら圧倒的に難しそうな簿記2級はどうすれば合格しやすくなるのか?
簿記2級には、実は単なる勉強して覚えればいいというものじゃなく、試験に向けた合格戦略性も必要とされており、それに特化した対策をしてお来なければならないのです。
勉強時間の確保
簿記2級の学習時間は最低でも150時間、平均でも300時間ぐらいは確保しておきたいです。
割合でいえば個人差があるとは思いますが「連結会計を除いた商業簿記」「連結会計」「工業簿記」の3つに分けて勉強割合を考えておきましょう。



連結会計が独立しているのは前述のとおりあまりにも難しいため。
- 商業簿記(徐連結):3割
- 連結会計:2割
- 工業簿記:5割
そのなかでも合格するにあたり工業簿記の勉強は欠かせません。
工業簿記の配点は40点もあり、難しさの波もあまり変動がないことから確実に取っておきたいです。
なので優先して行っていきましょう。
その次は連結会計。
これは簿記1級をやるかやらないかで割合が変動しますが
簿記2級でも頻繁に出てくるので工業に次いで時間を多く確保しておきたいです。
そして最後の商業簿記では、延長戦という位置づけなので比較的早く理解ができます。
時間をかけるものとすれば「有価証券」や元1級論点ぐらいであり、それ以外はわりとすぐにできるかなと思います。
先取り予約
モチベーション対策として先に試験の予約をしていくのも手です。



え??なんでそうするの!?
という、紫髪の女性のような方と同じ疑問を抱く方もいるでしょう。
先に予約をしておけばモチベーションが保ち急がなくちゃという気持ちが熱が入りこむからです。
簿記2級の勉強時間は300時間程度ですので、月に50時間程度であればだいたい6ヶ月ほどが目安になります。
1ヶ月で合格するという方もいるけど、体を崩すリスクが高いのでNGです。
簿記2級は短期間で対策してまで合格は難しいほか、捨て気味な連結会計や工業簿記といったものはいずれも役立つので、あまり推奨しません。
通信講座等
通信講座を使って勉強効率を図るのも手です。
簿記2級になると勉強効率が求められるようになり、独学でもできなくはないけど結構厳しくなります。
簿記2級を行うか、簿記1級まで進めるかによってコースが異なりますが、基本的にはCPAラーニングがおすすめです
電卓対策
簿記3級は暗算でも可能でありましたが、2級は計算が非常に多いので暗算ではできないです。
そこで電卓対策も試験において非常に重要です。
単純に早く入力するだけじゃなく、ショートカットできる機能も覚えて使っておくのも重要です。
工業簿記の仕組み
簿記2級の合格する近道はやはり工業簿記の手の入れです。
商業簿記は必ずどこかで非常に難しい問題がでてくることが多いため、点数もあまりとれないケースもあったりします。
しかし、工業は最低レベルが高くても、最高レベルが低いためブレが少ないです。
また、40点と欠かせないことから工業は確実に30点は目標にしたいです
そこで工業簿記の仕組みを理解するために欠かせないのが勘定連絡図の理解。
まずここを理解をしておかないと工業簿記はできません。
なので仕組みをまず覚えておきましょう。
連結会計の繰り返し
連結会計は1発どころか10回でも100回でもさえ、なかなか難しいです。
連結会計を乗り切るには地道な練習が必要不可欠です。
パターンが決まっているので道のりが覚えていればすぐに解けるといえます。
とはいえ連結は非常に難しいので、満点でとれないと思っておいてもよいです。
重要性が低い論点は切り捨て
簿記2級は前述のとおり範囲が広いため、まったくでない問題は切り捨てたり、さらっと終わらせて重要な論点に着けるべきだと思います。
そのなかでも特に出てこない・出題頻度が低い論点は
- 製造業会計全般
- 関連会社株式
- 商業簿記の理論問題
いずれも試験に出てくることがほぼありません。
理論問題に関してはまれに第2問で出てくる場合がありますが、超低確率な割合しか出てこないため計算を優先していれば解ける問題かなと思います。
まとめ


簿記2級は、正しい方法で勉強をすれば間違いなく合格できます。
不合格の原因は「勉強不足」か「やり方が間違っているだけ」です。
以上を踏まえてまとめますと
- 工業簿記そのものが深くて難しいから
- 連結会計そのものが理解してても難しく、確実な回答もなかなかしにくい
- 税効果会計が理解しにくい
- そのため全体的に勉強時間が長く、モチベーションが保ちにくい
- 簿記2級は難易度が難しい!予め計画性のある試験勉強を進めよう
- 簿記2級からは通信講座推奨していきたい
- 工業簿記・連結会計は惜しみなく行う
- 電卓を使いこなせるようにしていきたい。
簿記2級は簡単ではなく、考えておいて取り組みたいです。
以上参考になると幸いです。
どうも、ありがとうございました。
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