こんにちは、管理者のTITANです。
前回の記事では大手と中小のBTOメーカーの特徴をざっくり比較しましたが、今回はさらに踏み込んだ「お金」の話をしようと思います。
皆さんは「大手のほうが大量生産しているから安いはずだ」と思い込んでいませんか?
アクア 実は、その常識はもう過去のものになりつつある。
というより実はもう始まってきているね。
今のPC市場を細かく冷静に分析すると、スペックあたりのコストパフォーマンス、いわゆる「コスパ」で言えば、場合によっては中小BTOの方が優れているケースが増えてきました。
なぜ、規模の小さい会社がジャイアントキリング(大物食い)を起こせているのか。
その裏側にある、切実なコスト事情を紐解いていきましょう。
本当にそうなのか?
「大手が中小より高いなんて、そんなバカな」と思うかもしれません。
確かに、ノートPCや一般的な事務用PCであれば、大手のボリュームメリット(大量仕入れによるコストダウン)が効いています。
しかし、こと「ゲーミングPC」や「クリエイター向けPC」に関しては話が別です。
これらの高性能PCは、パーツ一つひとつの単価が高く、しかも相場の変動が激しい。
さらに、ユーザーは「ただ動けばいい」のではなく「安定して高パフォーマンスが出る」ことを求めます。
この「こだわりが求められる領域」において、大手の抱える「巨大すぎる組織の維持費」が、じわじわと製品価格に重くのしかかっているのが現状です。



えー?そうなのか?
じゃあ実際に調べてみろや!
大手BTOは高いのか?
結論から言えば、「同じスペックで比較したとき、数万円単位で高い」という逆転現象が珍しくなくなっています。
実際に一番ボリュームゾーンであるRTX 5070とRyzen 7 7800X3Dの組み合わせしたものを比較。
金額は2025年12月20日現在のものを記載
- OS→Windows 11 Home
- CPU→AMD Ryzen 7 7800X3D
- CPUファン→水冷
- GPU→Geforce RTX 5070
- RAM→DDR5 32GB(16×2)
- マザボード→B850マザーボード
- ストレージ→SSD 1TB(Gen4)
- 電源→750w電源
- 保証→3年
- ケース→基本考慮しない、最安で選ぶ
- 送料→含める
- ポイントによる付与割引→基本考慮しない
なお、スペックについては比較しやすいように一部のパーツをカスタマイズで行っています。
※BTOのカスタマイズの関係で違う場合は記載、ただし、あまり実用的に差がないものは省略
| メーカー | 価格 |
|---|---|
| ドスパラ(GALLERIA) ※マイクラつき | ¥434,478 |
| ドスパラ(THIRDWAVE) ※A620マザボ、マイクラつき | ¥388,718 ※推定40万円 |
| マウス(G-tune)※売り切れ ※G-passつき、SSD2TB | ¥349,800 ※推定34万円 |
| マウス(NEXTGEAR)※売り切れ ※A620マザボ、G-pass/マイクラつき、メモリ16GB | ¥239,800 ※推定29万円 |
| パソコン工房 ※A620マザボ | ¥336,381 ※推定35万円 |
| OzGaming | ¥351,502 |
| MDL.make ※B650マザボ | ¥364,300 |
実際にカスタマイズして調べてみたところ、大手も中小BTOも対して変わらない結果に。
マウスについては売り切れ多発で調べられてませんが、経験上この金額になるだろうということで記載。
マウスは大手の中でやはり比較的安価である一方、ドスパラは他のモデルに比べても1~2段ぐらいの割高でした。
大手BTOが高いというのはドスパラが高いというのが指すのじゃないかな?



とはいえ、メモリ高騰の過渡期の中での比較で、マウスももうすぐ値上げをするそうなので、多分同じ水準になる。
けど全体的に目立つのは大手BTOはマザボがとにかく安物にしがち。
全体的にA620がスタンダード価格という。
X870>B850=B650>B840>=A620
高級路線でもB850が採用しているぐらいで、7800X3DのモデルにはX870の採用はなかった。
いちおうA620とB850の価格差的には6000円ぐらいだけど、BTOの場合はそこで付加利益で稼ぐので実際には1万円ぐらいの感覚で来るとは思いますね



ほら~やっぱり嘘じゃないか~
だけどこれでまだ終わりではなく、同じマザーボードでもB850は安物でも1.4万円であるが、今回調べたOzGamingでは2.5万円ぐらいのものを使用しているものだったり、あとはそもそも比較するためになるべく揃えるようにするためにカスタマイズをしたが、それがすごーく高くつくんですよね…
BTOはカスタマイズして自分好みにするのがナンボの世界だけど、コスパは悪いという事実は知らないといけないです。



ちなみにカスタムなしがこちら
| メーカー | 価格 |
|---|---|
| ドスパラ(GALLERIA) | ¥394,980 |
| ドスパラ(THIRDWAVE) | ¥287,980 |
| マウス(G-tune) | ¥349,800 |
| マウス(NEXTGEAR) | ¥239,800 |
| パソコン工房 | ¥269,800 |
| OzGaming | ¥307,800 |
| MDL.make | ¥293,800 |



カスタムをするだけでもこんなに違うのか
とくに一番大きかったのはやはり保証年数で、マウスが3年保証が標準であるのを除けばだいたい5~10%ぐらいは上乗せしてきます。
マウスがカスタマイズしても安いのは保証年数の差が出ているからと言うのが大きい。
今回は1モデルでしたが、他のモデルでも基本的にどれも似たような傾向です。
結論から言えば「大手BTOが高い傾向なのは本当だけど、BTOにも使用するパーツにもカスタマイズの多さによる」



実際にマウスは配送が他の大手より配送が遅い分、安さや保証で勝負しているからね。
もちろん、セール時期や型落ちモデルの処分であれば大手も驚くほど安くなることはあります。
ではここからが本題で大手BTOは中小BTOと変わらないどころか割高になってしまう傾向があるのかについての理由を調べてみたり、私なりの推測で調べてみました。
大手BTOがなぜ割高になっていくのか?
その理由は、大手が「大手であり続けるため」に支払っているコストにあります。
人件費の高騰が数の多さで喰らう
まず、割高で最も大きいのが人件費です。
PCの組み立て、特に高性能なゲーミングPCは「誰でもできる単純作業」ではありません。
配線の取り回し一つで冷却効率が変わりますし、初期不良を見抜くには専門的な知識と経験が必要です。



これがねー、実際に組み立てとかやるとわかるけど機械だとできないやつだわーと思った。
(将来的にはできるかもしれないけど)



アクア先輩でもそんな事言うんですか…
またドスパラなどの売りである「注文から翌日配送でお届け!」というスピードを実現するためには、膨大な人数の組立作業員、検品スタッフ、そして配送管理者を抱えなければなりません。
更には近年の大手BTOはカスタマイズの選択肢が本当に狭く、基本的に商品ラインナップで選んでいくというスタンスがメインになってきました。
カスタマイズの選択肢はブロガーやアフィリエイターからおすすめ商品等でアクセスとかした初心者からすれば迷いも少なくなるのでそういった方には大きくplusになりますが、カスタマイズが好きな中級者や上級者、さらには直接公式サイトへ来た方からすれば商品ラインナップの多さはどれを選べば良いのか迷いますし、カスタマイズの少なさは慣れたゲーマーからすれば物足りないなと感じてきます。
カスタマイズにこだわらず、とりあえず動けばいいかな方には合っているとは思いますね。
こうなった背景には人数の多さがやはり要因だと思っていて、人の能力はそもそもちがうし、できる限り合理的で簡単に早く組み合わせをするとなればイレギュラーというものを少なくしたいのが本音。
個人的な予想だけど、最終的にはあらかじめロボットでPCを量産して、本体のカスタマイズを一切しないゲーミングPCが出てくる可能性があるんじゃないかなと考えられます。



近年は人手不足とかも騒がれるし、工場とかも機械化で対策しているのでBTOも例外じゃないからね。
さらに、大手には広報、人事、経理、法務といった「PCを組み立てない人たち」も大勢います。



調べると、ドスパラ(サードウェーブ)で1100人程度、マウスで520人程度は在籍していた
ちなみに中小は規模によるけど5~100人ぐらいが多いね



さすが大手であって人数も多いんですね
でもこれ意外と人数は少ないなと思っていて、やはり比較的事業として新しいのもあるのか、あるいはそもそも日本におけるゲーミングPC市場が他の国に比べてシェアが低いからなのか一番多く在籍しているトヨタは39万人、PS5を作るソニーでも11万人なので、いかにもBTOは少ないことがわかる。
それでも近年は最低賃金上昇や社会保険なども上がっていてこの膨大な組織を維持するための給与が、巡り巡ってPC1台あたりの価格に転嫁されているのです。
一方で中小はその逆で少数精鋭です。
動画程度で確認する限りですが、社長自らが組み立てに参加したり、一人のクリエイターが組み立てからSNS発信まで兼任したりすることも珍しくありません。
無駄な中間管理職がいない分、コストを極限までパーツ代に回せるわけです。
土地と設備代が高い
次に、拠点を置く「場所」のコストです。
大手BTOメーカーの多くは、東京の一等地に本社を構え、地方(例えば長野や島根、北関東など)に巨大な工場を持っています。
そもそも東京の本社は家賃がバカ高いというのは御存知の通りで、これは説明なくて良いでしょう。
地方の工場も「早く、大量に」作るために、数億円するような最新の自動搬送システムや検査設備を導入したりするため、この点も価格上昇につながるだろうなと言う感じはします。
この設備投資の減価償却費も、PC価格に乗ってきます。
中小メーカーは、本社と工場が同じ、あるいは隣接していることがほとんどです。



これはBTOに限らず中小の工場だとだいたいそんな感じね
わざわざ高い家賃を払って東京に本社を置く必要がないと割り切っています。
店舗を構えているのも高コストになっている
ドスパラやパソコン工房に行けば、実際に触って確かめられる実店舗がありますよね。
ユーザーとしてはどんなものか触れるために嬉しいですが、これはメーカーにとっては「超高コスト案件」です。
まず大手BTOは秋葉原や日本橋、大須といった都会の電気街に店を出しているのでこの時点でも、凄まじい家賃がかかります。
さらに光熱費、店舗スタッフの給料、展示品の在庫リスク。
これらすべてを「実機を見ないでネットで買う人」も、製品価格を通じて間接的に負担していることになります。



流石に店舗で買うよりかやすいんだけどね
一方で中小は店舗を持ちません。けど今の時代、というよりBTOはもともと店舗というよりネットで買うのが主流なので
広告費が嵩んできている
最後に、意外と知られていないのが広告宣伝費です。
大手のBTOはより大きなPC業界に対抗するためにテレビCM、YouTubeのバンパー広告、検索エンジンの最上部に出るリスティング広告などまだ知らない方にも認知するように出しています。。
そのためこれらには毎月、数千万から億単位のお金が動いています。
また、大手メディアや個人ブロガーにも「おすすめBTOメーカー比較!」という記事を書いてもらうための裏側でも、多額の予算が動いています。



最近だとVtuberや配信者コラボにも手を付けるようになり、この分のコストも上乗せしているかもしれません。
一方で中小BTOは、テレビ広告といった企業広告にはそんな大金は払えません。
だからこそ、SNS(XやInstagram、LINE)で中の人が直接ユーザーと交流したり、特定のニッチなインフルエンサーに実機を貸し出したりといった「尖った戦略」を取ります。



いちおう広告はアフィリエイトは中小でもやっているところも多いし、近年は大手BTOでもLINEやXを手を付けて取り組むところも出てきているけど
ちなみに、アフィリエイト(紹介報酬額)については、意外にも大手と中小で報酬にそこまで大きな差はありません。
実際に報酬が高いのは利益率が高い会社で、逆に収益率が低かったり、従業員の還元が高めだと低い傾向だったりします。



アフィリエイトの場合は利益率だけじゃなく確率や本体価格戦略も結構重要なんだよね。
まとめ
「大手=安い」という図式は、PCが贅沢品だった時代の話。
現代のように、誰もがハイスペックなマシンを求める時代においては、BTOの構成によって「無駄な固定費を削り、その分をパーツの質に全振りした中小BTO」のほうが、実は賢い選択になることが多いのです。
- スピードとブランド、対面サポートを求めるなら「大手」
- 中身の質、自分だけのこだわり、純粋なコスパを求めるなら「中小」
特に「WEB3」や「3DCG」といった、PCの性能がそのまま自分の武器になるジャンルに挑戦するなら、見栄えの良いブランド料を払うよりも、1GBでも多いメモリ、1ランク上のマザーボードに投資すべきだと私は思います。



CPUやGPUはあとからなんとかなるけど、マザボだけは本当に慎重に考えて!
もちろん、中小メーカーはサポート体制が少人数だったりと、自分で解決しなければならない場面(Webで調べる能力など)も少しは求められます。
でも、それこそが「PCを使いこなす」第一歩。
難しく多機能すぎるものを追い求めるより、自分の用途に合った「ちょうどいい、でも最高の一台」を、ぜひ中小BTOの選択肢も含めて探してみてください。


