今回はPCゲーム界隈でまことしやかに囁かれる「なぜゲーミングPCにはCore i3やRyzen 3が載っていないのか?」という謎について、ハードウェアの歴史と経済的な背景から深掘りしていきたいと思います。
ダークネスそういえばこんだけあがっているからもっと安いCPUとかないのかなってずっと疑問に思ったけどより下のモデルあったんだ。



実は割とリリースはしているんだよ、「3」も。



でもなんであんまり見かけないんでしょうかね?
最近のBTOメーカー(受注生産PCショップ)のラインナップを見ると、一番安価なモデルでも「5」から。
格安で狙いたい方は「もっと安い3でいいんだけどな」と思うかもしれませんが、そこにはメーカー側の思惑と、半導体製造のリアルな事情が隠されています。



じゃあ3がないのかを私なりの推測で解説するね
販売しているBTOもほぼ全部「5」以上
現在のゲーミングPC市場において、CPUの選択肢はIntelなら「Core i5 / i7 / i9」、AMDなら「Ryzen 5 / 7 / 9」が主流です。



実際にマウスコンピューターのBTOとかで見てもらうと分かる通り




ほぼないです。
そのためエントリーモデルのCore i3やRyzen 3搭載機を見つけるのは至難の業。



じゃあやっぱりCore i3やRyzen 3はゲームに不向きなのか?



そうね~昔から影が薄かったからね
昔からゲーミングPCといえばCore i7やCore i5が花形で、i3は「事務用」というイメージが強かったのは確かです。
でも数年前までは超ローエンドのゲーミングモデルとして、i3搭載機が細々と存在していました。



へ~売っていたんだ!



昔は今ほど性能があったわけじゃなかったからね
主にCore i3にはGTX 1050 TiやGTX 750 Ti、ゲームじゃないものも加えるとGT 1030やGT 710とかの搭載PCにつけていることが多かった。
それが今では、RTX 3050やRTX 5050のGPUですら「5」以上で、ほぼ売ってない状態となっています。
今のCore i3なんて第7世代のCore i7 7700Kよりも全然高い
じゃあそこまで搭載しないからCore i3やRyzen3なんて性能が低いと思っているなら、それは大きな間違いです。



というかね、今のCPUもGPUもどれもハイエンドなんだよね。無駄のせいでローエンドになってしまっている
実際に今のCore i3(第10世代以降)やRyzen 3のモデルは、なんと4コア/8スレッドもあります。
この4コアのスペック、実は2016年〜2017年頃までは、1台20万円以上した「ハイエンドPC」の代名詞だった「Core i7-7700K」と同等か、それ以上の実効性能を持っています。



もちろんだけど世代が新しいので昔のCore i7よりも今のCore i3のほうが全然高くフレームレートも出る
今のCore i5やRyzen 5(Pコア)なら6コア12スレッド、i7やi9(Pコア)やRyzen 7になれば8コア16スレッド以上が当たり前。
かつては8万〜15万円、もっと遡れば20万円クラスだった性能が、今の「3」や「5」に降りてきているわけです。
つまり、現在の「3」はかつての「700番台(ハイエンド)」相当。
「5」は「800番台」、「7」に至っては「900番台」という、完全に格上げされた状態にあります。
正直なところ、普通にPCゲームを遊ぶだけならCore i3で十分なんです。



そもそも今のゲームは普通じゃなく、最適化無視しているばかりでゲームとして成り立ってないんだ



重くしてなんのメリットがあるんでしょうか?
ボトルネック(CPUが足を引っ張ってグラボの性能が出ない現象)に関しても、RTX 3050 6GBや、RTX 5050クラスなら全く問題ありません。
当時のハイエンド構成だった「Core i7-7700K + GTX 1080 Ti」よりも今の「Core i3 14100+RTX 5050」の方が快適なケースすらありますからね。



これ安定期に自作すると10万円ぐらいで行けるんじゃないかな?
なぜ「3」のモデルが全然ないのか?
性能的には十分戦えるはずの「3」が、なぜゲーミングPC市場から姿を消したのか。
これには「作る側の事情」と「売る側の事情」が複雑に絡み合っています。
IntelもAMDも「3」に対するやる気がない
まず、CPUの二大巨頭であるIntelとAMDが、デスクトップ向けの「3」シリーズにほとんど力を入れていません。
Intelの場合は 自分で作成しておりCore i3-13100や14100が存在しますが、これらには最新のIntel CPUの特徴である「Eコア(高効率コア)」が搭載されておらず、設計が古いままです。
Intelとしては、限られた製造ラインを単価の高いi5以上に回したい、あるいは4コア設計のチップは需要が高いノートPC向けに優先して回したいという意図が見え隠れします。
AMDの場合はまた事情が異なり Ryzen 3については、Zen2世代の4100以降、デスクトップ向けの純粋なCPUはほぼ出ていません(APUという映像出力付きモデルはありますが)。
これ、実はAMDが採用している「TSMC(台湾の半導体製造会社)」の技術力が上がりすぎたことが原因の一つなんです。
今のRyzenは、基本的に8コアの塊をベースに作られます。
以前は「8コア作ろうとしたけど1個もしくは2個壊れてたから6コア(Ryzen 5)として売ろう」「3個もしくは4個壊れてたから4コア(Ryzen 3)にしよう」というランクダウンができましたが、今の製造技術は精度が高すぎて、失敗作があまり出ないんです。



余談だがRyzen 5も、Ryzen 7に比べてもラインナップが地味な傾向であり、もしかすると7が一番多く製造しているかもしれないな
わざわざ4コアにするために正常なコアを殺して安く売るくらいなら、全部6コア以上のRyzen 5/7として売ったほうが儲かる。
これが「Ryzen 3不在」のリアルな舞台裏です。
かえってコスパが悪いという逆転現象
「安く作るために種類を減らす」というのは、会計や経営をかじった人なら誰でも知っている鉄則です。
ゲーミングPCメーカー(BTOショップ)の視点に立つと、ラインナップが増えるほど在庫管理や仕入れのコストが分散してしまい、結果的に1台あたりの利益が減ってしまいます。
- Core i3のPCをラインナップに加える
- そのために専用のマザーボードや少量のCPUを仕入れる
- でも、Core i5モデルと価格差が2万円くらいしかないのに性能差は倍以上
- 結局みんなi5を買うので、i3の在庫が余る
これなら、最初からローエンドもCore i5に一本化したほうが、大量仕入れで安く買い叩けるし、サポートの手間やミスも減ります。
現在のBTOは人も足りないので、多様性よりも需要の高い「売れる中央値」にリソースを集中させているわけです。
高級機(50万円〜)はコスパが悪くても利益率が高いので残りますが、中途半端に安いエントリー機は、費用対効果の面で「削減対象」になってしまったんですね。
現在の「3」は旧世代の「5」や「7」が肩代わりしている
じゃあ、安いゲーミングPCが欲しい人はどうすればいいのか?



その答えが、「Ryzen 7 5700X」や「Ryzen 5 4500」といった旧世代モデルの活用です。
現在の最新世代(Ryzen 9000シリーズなど)から見れば、これらの旧世代モデルは実質的に「Ryzen 3 9300X」や「Ryzen 3 9100」くらいの立ち位置を担っています。
かつてのCPUは新モデルが出たら旧モデルは即引退でしたが、今は最先端の半導体(3nmや5nm)が足りず、逆に普通の半導体(7nm)が足りているからという状況だからなのか
- 新世代: ハイエンド〜ミドルハイ(性能追求)
- 旧世代: エントリー〜ローエンド(コスパ追求)
このように併売される形が定着しました。



これは製造のTSMCが言っていて、実際今7nmなどの普通の半導体は値下げしているんだ



え!?そうなの?てっきり値上げしているのかと思っていた



最先端の3nmや2nmは実際に高いよ
というように供給事情や歩留まり率を考えると、わざわざ最新技術で4コアの「3」を使うよりも、一世代や二世代前の枯れた技術で8コアの「7」(5700Xなど)を安く供給し続けるほうが、メーカーにとってもユーザーにとっても合理的なんでしょうね。
この「世代を跨いだポートフォリオ」が、今のPC市場の賢い戦い方なんです。
結論:多機能・複雑化の罠を回避せよ
最近は何でも「多機能で複雑」になりがちです。
でも、結局使いにくくて時代遅れになるのがオチ。
ゲーミングPC選びも同じで、スペック表の数字に惑わされる必要はありません。
「3がない」のは、選ばれずに市場が最適化された結果。
無理に最新の「3」を探すより、安定している「5」や、一世代前でコスパが爆発している「7」を選ぶのが、今の正解と言えるでしょう。
「昔のi7より今のi3が強い」という事実に気づければ、PC選びの視野はもっと広がるはずです。


