Unity・Unreal Engine 5(UE5)に代表される汎用ゲームエンジンは、長年にわたってゲーム開発の標準ツールとして君臨してきました。しかし近年、その巨大さゆえの問題が浮上し、業界全体に波紋を広げています。
この記事では、汎用ゲームエンジンが抱える問題点を整理しつつ、「特化型ゲームエンジン」という新潮流が今後どのような形で広まっていくのかを詳しく解説します。
にゃももUnityとUE5って、ゲームを作るときに必ず名前が出るよね。でも最近なんか問題があったって聞いたけど?



そうなんだよ。特にUnityは2023年にとんでもない騒動を起こしたんだ。順番に説明していこう。
今の主流なゲームエンジンにおける問題点
現在のゲーム開発シーンで圧倒的な存在感を誇るのが、UnityとUnreal Engine 5(UE5)の2強です。しかし、どちらも深刻な問題を抱えており、特に個人開発者・インディーデベロッパーからの不満が高まっています。
Unityの「Runtime Fee」騒動(2023年)
2023年9月、Unity Technologiesは衝撃的な発表を行いました。それが「Runtime Fee(ランタイム費用)」制度の導入です。
この制度の概要は以下の通りでした。
- ゲームのインストール数が一定基準(年収20万ドル超かつ20万インストール超)を超えた場合、新規インストールごとに0.20ドルの手数料を徴収する
一見するとそれほど問題がないように見えますが、開発者コミュニティの反応は激烈でした。その理由は「既存の無料・低価格ゲームに遡及して適用される可能性があること」「慈善目的やフリーゲームにも課金される可能性があること」「インストール数のカウント方法が不透明なこと」などの問題点が次々と指摘されたからです。
結果として、多くのインディーゲームスタジオが「Unityからの移行宣言」を出し、GodotエンジンのGitHubスター数が数日で3倍以上に膨れ上がりました。Unityは批判を受けて方針を大幅に修正しましたが、開発者からの信頼は大きく損なわれました。



えっ、使っているだけでお金を取られるようになる?それは困る!ゲームを公開したら急に赤字になるかもしれないってこと?



そういうことだよ。しかも過去に作ったゲームにも適用されるかもしれなかったから、開発者たちは大パニックになったんだ。
UE5の高スペック要求問題
Unreal Engine 5(UE5)はNanite(仮想ジオメトリ)・Lumen(グローバルイルミネーション)などの革新的な技術を搭載した最先端のゲームエンジンです。しかし、その代償として要求スペックが非常に高くなっています。
UE5を快適に使用するためには、高性能なGPU(RTX 3070以上が推奨)・大容量RAM(32GB以上が望ましい)・高速SSD(NVMe推奨)が必要です。個人開発者がこれらの環境を整えるには相当な投資が必要であり、「ゲームを作りたいのに、まずパソコンの購入費で大変」という状況が生まれています。
さらに、UE5自体のインストールサイズが数十GB以上になることも珍しくなく、学習コストも非常に高いため、初心者や個人開発者には参入障壁が高いエンジンとなっています。
機能の肥大化と学習コストの問題
Unity・UE5ともに、長年の機能追加によってエンジン自体が非常に複雑になっています。UnityのEditorは、シンプルな2Dゲームを作るだけでも覚えるべきことが膨大にあり、最新機能(DOTS・ECS・URP・HDRP等)を追うだけでも大変です。
「シンプルなRPGを作りたいだけなのに、使わない機能が多すぎてどこから手をつけていいかわからない」という声は、個人開発者の間では非常によく聞かれます。
これからどうなるか
Unity騒動を境に、ゲームエンジン市場は大きな転換点を迎えています。特に注目されているのが、特定ジャンル・用途に特化した「特化型ゲームエンジン」への移行です。
すでにいくつかのエンジンがその先駆けとして注目を集めています。
- Godot(ゴドー):オープンソース・完全無料のゲームエンジン。2D・3D両対応だが、特に2Dゲームでの使いやすさに定評がある。Unityからの移行先として急速に普及中
- Bevy(ビービー):Rustベースの新興ゲームエンジン。ECS(エンティティ・コンポーネント・システム)アーキテクチャに特化しており、パフォーマンス重視の開発者から注目される
- RPGツクール(RPG Maker):RPGというジャンルに完全特化。プログラミング不要でRPGが作れる設計で、初心者でも短期間でゲームを完成させられる
- Defold(ディフォールド):Kingが開発したモバイルゲームに特化したエンジン。軽量・高速で、スマホゲーム開発に最適化されている
- GDevelop(ジーディベロップ):ノーコードで動く2Dゲームエンジン。プログラミング知識ゼロでも動くゲームが作れる



ゲームの種類に合わせてエンジンを選べるようになるってこと?それはなんか使いやすそう!
特化ゲームエンジンの具体例紹介
特化型ゲームエンジンの全体像を把握するために、主要なものを一覧表でまとめました。
| エンジン名 | 得意分野 | 料金体系 | 難易度 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| Godot 4 | 2D・インディーゲーム全般 | 完全無料・OSS | 初中級 | Unity代替として急速に普及 |
| RPGツクールMZ | 2D RPG | 買い切り(約15,000円) | 初級〜 | プログラム不要でRPGが作れる |
| Defold | モバイル2Dゲーム | 無料(条件付き) | 中級 | King社製。Luaスクリプト使用 |
| Bevy | ハイパフォーマンスゲーム | 完全無料・OSS | 上級 | Rustベース。学習コスト高め |
| GDevelop | 2Dゲーム全般 | 無料〜(有料プランあり) | 入門向け | ノーコード対応 |
| Pygame | 2D・教育用ゲーム | 完全無料・OSS | 中級 | Pythonベース。学習用途に最適 |
| Love2D | 軽量2Dゲーム | 完全無料 | 中級 | Luaスクリプト。超軽量 |



こんなに色々な選択肢があるんだね!作りたいゲームの種類によって最適なエンジンが全然違うんだ。
特化ゲームエンジンのメリット
特化型ゲームエンジンには、汎用エンジンにはない数々のメリットがあります。具体的に見ていきましょう。
メリット1:学習コストが大幅に低い
汎用ゲームエンジンは「何でもできる」ゆえに覚えることが膨大ですが、特化型エンジンは対象ジャンルに必要な機能だけが揃っています。RPGツクールでRPGを作る場合、ダンジョン生成・戦闘システム・イベント管理などのRPGに必要な要素があらかじめ用意されており、「ゼロから設計する」手間がありません。
学習期間が大幅に短縮されるため、アイデアを素早く形にできます。「趣味でゲームを作ってみたい」という初心者に特に向いています。
メリット2:軽量・低スペックPCでも動く
特化型エンジンは余分な機能を持たない分、ソフトウェア自体が軽量です。GodotのインストールサイズはわずかなMBオーダーで、UE5の数十GBと比較すれば圧倒的に小さい。古いPCでも開発できるため、新しいハードウェアへの投資が不要な場合が多いです。

