前回のその3では、CPUやGPUなどのスペックの読み方をお伝えしました。今回は「予算計画」の実践編です。欲しいPCが決まったとして、どうやってお金を準備するか。リューロンさんも交えて、具体的な計画の立て方を見ていきましょう。
しばぬんゲーミングPCは高い買い物だからこそ、計画的に動くことが大事だね。思いつきで買って後悔するのが一番もったいない。



リューロンさんって普段そういうこと詳しいもんね!じゃあ、どこから考えればいいの?



まずは「PCを買うこと自体にリスクがある」という視点を持つことから始めよう。価格は変動するし、パーツの世代交代もある。だから準備期間をちゃんと設けることが重要なんだ。
ゲーミングPCの購入は事前に計画を立てたほうが良い
ゲーミングPCは、家電の中でも特に「価格変動が激しい」商品カテゴリーです。GPU(グラフィックボード)の新世代が発表されるたびに旧モデルの価格が下落し、同じ予算で買えるスペックが大きく変わります。
また、半導体不足や円安などの外部要因によって価格が急騰することもあります。「今日決めて今日買う」ではなく、数ヶ月単位で計画を立てて購入するのが賢いアプローチです。
PCには安定期と不安定期がある
GPUメーカー(NVIDIAやAMD)は概ね1〜2年に一度、新世代のGPUを発表します。新世代発表直後は旧世代の価格が下がり、新世代は品薄で高値になります。この「新旧交代期」が最も価格が不安定な時期です。
| 時期 | 市場の状況 | 購入のタイミングとして |
|---|---|---|
| 新世代GPU発表直後(3ヶ月以内) | 旧世代値下がり・新世代品薄 | 旧世代のコスパが上がる好機 |
| 新世代が安定供給される時期 | 価格が落ち着く | 新世代を適正価格で買えるベストタイミング |
| 次世代発表の噂が出始めた時期 | 現行世代が値下がり始める | コスパ重視なら狙い目 |
| 半導体不足・為替急変時 | 全体的に価格上昇 | できれば購入を先送りしたい |
パソコンのパーツの寿命を長くするコツ
計画的に買ったPCは、使い方次第で長持ちします。一般的なゲーミングPCのパーツ寿命は以下の通りです。
| パーツ | 一般的な寿命 | 長持ちのコツ |
|---|---|---|
| CPU | 8〜15年 | 過度なオーバークロックを避ける |
| GPU | 5〜10年 | 温度管理・定期的なほこり除去 |
| メモリ(RAM) | 10〜15年 | 静電気・湿気から守る |
| SSD(NVMe) | 5〜10年 | 書き込み量を管理・バックアップを定期実施 |
| 電源ユニット | 5〜8年 | 品質の良いものを最初から選ぶ |
| マザーボード | 8〜12年 | 静電気対策・コンデンサの目視確認 |
特に「電源ユニット」はケチらないことが重要です。安い電源は出力が不安定で他のパーツにダメージを与えることがあります。最初から80PLUS GOLD以上の品質認証を受けたものを選びましょう。
計画中の間に行っておくべきもの
無駄な支出を削減し貯金をしておく
PCを購入するための資金を準備する期間は、日常の出費を見直す絶好の機会でもあります。以下の項目を参考に、節約できるポイントがないか確認してみてください。



……節約って言うと難しそうに聞こえるけど、意外と小さなことの積み重ねなんだよね。



そうだね。月に1万円の無駄を見つけるだけで、半年で6万円が浮く。それだけでGPUのグレードが1段上がるかもしれない。
| 見直し項目 | 節約の目安/月 | 難易度 |
|---|---|---|
| 使っていないサブスクの解約 | 500〜3,000円 | ★☆☆☆☆ |
| スマホプランを格安SIMに変更 | 2,000〜8,000円 | ★★☆☆☆ |
| コンビニ利用を減らす | 3,000〜10,000円 | ★★☆☆☆ |
| 外食を自炊に切り替える | 5,000〜20,000円 | ★★★☆☆ |
| 電気・ガスプランの見直し | 500〜3,000円 | ★★☆☆☆ |
| 不要なゲームの購入を控える | 2,000〜5,000円 | ★★★☆☆ |
| ポイントカード・アプリの活用 | 500〜2,000円 | ★☆☆☆☆ |
| 衝動買いをルール化して防ぐ | 3,000〜15,000円 | ★★★★☆ |
| 交通費の最適化(定期・自転車) | 1,000〜5,000円 | ★★★☆☆ |
| 書籍・マンガを図書館・電子書籍に | 1,000〜5,000円 | ★★☆☆☆ |
| 友人との飲み会の頻度を下げる | 3,000〜10,000円 | ★★★★☆ |
| ゲームの課金を一時停止 | 1,000〜10,000円 | ★★★☆☆ |
| 健康習慣でサプリ・医療費を削減 | 1,000〜5,000円 | ★★★★☆ |
| フリマアプリで不用品を売る | 1,000〜10,000円 | ★★☆☆☆ |
収入手段を増やしておくこと
節約と並行して、収入を増やす手段を考えることも重要です。ゲーミングPC購入後の趣味活動(配信・動画投稿・ゲームブログ等)と親和性の高い副収入手段を準備するのも一石二鳥です。
具体的には「不用品の売却(メルカリ・ヤフオク)」「アンケートモニター」「スキル販売(ランサーズ・ラクスル)」「ポイント活動の強化」などが取り組みやすいものです。大きく稼ごうとせず、月に1〜2万円の上乗せを目標にすると達成しやすくなります。
計画中の間では行ってはいけないもの



やってはいけないことってあるの?貯金するだけじゃダメなの〜?



貯金は正しい方向だよ。でも、焦った人が陥りがちな落とし穴がいくつかあって、それを知っておくことが大事なんだ。
計画分の金融投資はしてはいけない
「半年後にPCを買う予定だから、その間に資金を株で増やそう」という考えは危険です。株式・仮想通貨・FXなどの投資は、半年以内に必ず使う予定のお金には向いていません。価格が下落すれば、せっかく貯めた資金が減ってしまいます。
投資は「長期間使わないお金」で行うものです。PC購入資金は普通預金か定期預金で確実に保管しておきましょう。
良い人間関係を崩すコスト削減はしてはいけない
節約のためとはいえ、友人との交流を完全に断ったり、家族との外食を一切やめたりするのは本末転倒です。人間関係から得られる精神的な充実は、ゲームを楽しむうえでも重要な土台です。節約は「削れるところだけ削る」という姿勢で。
残業してお金を稼ぐこと
「早く買いたいから残業を増やしてお金を稼ぐ」という発想も注意が必要です。疲れた状態でゲームを楽しめなかったり、体を壊してしまっては意味がありません。収入を増やす努力は、無理のない範囲で行いましょう。
借金をするような計画を立ててはいけない
カードローンや消費者金融でゲーミングPCを購入するのは絶対にやめましょう。ゲーミングPCは娯楽品であり、高い利子を払ってまで手に入れるものではありません。分割払いは「金利なし・手数料なし」のものに限定し、無理のない計画を立てましょう。



ハイエンドPCを持ちたい気持ちはわかるけど、借金でPCを買うのは絶対ナシだね。楽しむためのゲームがストレスの原因になる。
月ごとの具体的な貯金シミュレーション
「目標金額20万円のゲーミングPCを買いたい」というケースを想定して、3パターンの貯金シミュレーションを用意しました。現在の貯金額や収入に合わせて参考にしてください。



目標を「いつまでに」「いくら用意するか」で具体的に分解すると、毎月の行動目標が明確になる。ざっくりした計画より、数字で管理したほうが達成率が上がるよ。
| プラン | 期間 | 月の貯金目標 | 節約+副収入の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 速攻プラン | 3ヶ月 | 約67,000円/月 | 月3〜5万円の節約+副収入 | 既にある程度貯金がある人・収入に余裕がある人 |
| 標準プラン | 6ヶ月 | 約34,000円/月 | 月1〜2万円の節約が基本 | 平均的な収入・節約を無理なく続けたい人 |
| じっくりプラン | 12ヶ月 | 約17,000円/月 | 月5,000〜1万円の節約で達成 | 収入が少なめ・生活を崩したくない人 |
月ごとの詳細な管理方法としては、専用の「PC購入用口座」を作ることをおすすめします。給与が入ったら自動振替で毎月一定額を移動させると、使い込んでしまうリスクが減ります。
| 月 | 速攻プラン累計 | 標準プラン累計 | じっくりプラン累計 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 67,000円 | 34,000円 | 17,000円 |
| 2ヶ月目 | 134,000円 | 68,000円 | 34,000円 |
| 3ヶ月目 | 201,000円(達成) | 102,000円 | 51,000円 |
| 6ヶ月目 | — | 204,000円(達成) | 102,000円 |
| 12ヶ月目 | — | — | 204,000円(達成) |
既に一定の貯金がある方は、その金額を計算に組み込んで期間を短縮しましょう。たとえば、既に10万円あれば標準プランでも3ヶ月で目標に届きます。
PC購入のタイミングを見極める方法
「お金が貯まった!さあ買おう!」となったとき、本当にそのタイミングが最適かを確認する方法があります。情報源を押さえておくことで、無駄なく最良の買い物ができます。



どこで情報を集めればいいですか?メーカーのサイトだけ見ていればいいですか?



メーカーサイトだけじゃ不十分だよ。複数の情報源を組み合わせて、全体像を把握するのが大事。
価格.com:ゲーミングPCやGPU単体の価格推移グラフを確認できます。「この3ヶ月で価格が下がり続けているか、上がり始めているか」をグラフで確認しましょう。
PC Watch(https://pc.watch.impress.co.jp/):国内最大手のPC情報メディアです。新製品の発表情報や価格動向が詳しく掲載されています。「新GPU発表」の記事が出たら、旧世代の購入タイミングが近づいているサインです。
Tom’s Hardware / AnandTech 等の海外メディア:NVIDIAやAMDの新製品は海外で先に情報が出ることが多いです。英語が読めなくても、製品名と数字から大まかな情報は掴めます。
X(旧Twitter)のテック系アカウント:「ゲーミングPC」「GPU価格」などのキーワードで検索すると、最新の価格情報やセール情報を発信しているアカウントを見つけられます。
| 情報源 | チェック頻度 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 価格.com | 週1〜2回 | 目標PCの価格推移グラフ |
| PC Watch | 週1回 | 新製品発表・価格動向ニュース |
| BTOメーカー公式サイト | 週1回 | セール情報・新モデル追加 |
| X(テック系アカウント) | 気が向いたとき | セール速報・限定クーポン情報 |
一般的に、ボーナス商戦(6月・12月)や年末年始セール(1月)、決算セール(3月)はBTOメーカーが値引きやキャンペーンを実施することが多いです。これらの時期に合わせて購入すると、数千〜数万円お得になることがあります。
中古PCとレンタルPCの賢い活用
「完全新品のゲーミングPCを買わなければいけない」というわけではありません。状況によっては中古PCやレンタルPCを活用することで、目標に早く到達できることがあります。



中古PCってその2で「趣味の領域」って言ってたけど、全部ダメなの?



完全な初心者には勧めにくいけど、「信頼できる販売店で保証付き」なら選択肢になり得るよ。ただし、BTO新品と比べてリスクが高いのは変わらないから、判断が必要だね。
| 選択肢 | 価格メリット | リスク | 推奨度(初心者) |
|---|---|---|---|
| BTO新品 | なし(定価) | 最小 | ★★★★★ |
| 認定中古(保証付き) | 2〜4万円安い | 中程度(前使用者の使い方による) | ★★★☆☆ |
| 個人出品(メルカリ等) | 3〜8万円安い | 高い(返品・保証なし) | ★☆☆☆☆ |
| レンタル(月額制) | 初期費用が抑えられる | 長期で見ると割高 | ★★★☆☆(試用目的) |
中古PCを検討する場合は「ソフマップ(中古PC認定品)」「パソコン工房の整備品」など、専門店の保証付き整備品を選ぶことをおすすめします。個人間取引は経験者向けです。
また「まずレンタルでゲーミング環境を試してみて、続けると確信してから購入する」というステップも合理的な選択です。ゲームを始めてみたら実はそこまでハマらなかった、という可能性もゼロではないからです。
まとめ:予算計画の5点チェックリスト
- チェック1:購入目標金額を明確にしたか?
- チェック2:無駄な出費の削減リストを作ったか?
- チェック3:PC購入資金を投資に回していないか?
- チェック4:購入タイミングの情報収集をしているか?
- チェック5:借金・無理な残業でお金を作ろうとしていないか?
次回のその5では、いよいよ「どのBTOショップで買うか」の判断方法を詳しく解説します。自分のゲームスタイルに合ったショップを選ぶポイントをお伝えしますよ!

