NVIDIA Geforce RTX 3060 12GBの解説

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Geforce RTX 3060 12GB(デスクトップ版)はNVIDIAが2021年1月に発売された RTX 30seriesのミドルクラスGPUの一つであり、位置づけとしてRTX 2060の後継機である。

目次

概要

RTX 3060 12GBRTX 2060 6GBRTX 2070RTX 2060 Super
CUDA3584192023042176
RTコア28303634
Tensorコア112240288240
ベースクロック1.32GHz1.37GHz1.41GHz1.47GHz
オーバークロック1.777GHz1.68GHz1.71GHz1.65GHz
メモリパス192bit192bit256bit256bit
メモリ容量GDDR6 12GBGDDR6 6GBGDDR6 8GBGDDR6 8GB
メモリ転送レート15Gbps14Gbps14Gbps14Gbps
L2キャッシュ3MB   
TDP170w160w185w175w
推奨電力550w500w550w550w
米ドル価格329ドル349ドル499ドル399ドル
日本円価格約5万円   

Geforce RTX 3060、3060 Ti、2060、の比較

ウェハや使っているチップ

RTX 3060が使われているチップはRTX 30series同様にSamsung製造の8nm製造で、GA106-350を使われている。
RTX 3060 TiがGA104だったのでそれよりも規模が縮小されていることがわかる。

RTX 3060RTX 3060 TiRTX 2060
GA106GA104TU106

一方でRTX 2060と比較すると同じ106の数字を使われているが、Tuinig世代のGPUはAmpere世代とは異なっていて、実際のところはTU106の後継はどちらかと言えばGA106ではなくGA104。

余談だがTU104はGA103の先代と位置づけに近い。

ではチップのGA106先代はなんなのか、GTX 1660 Superなどに使われる TU 116という位置づけに近い。

理由としてTU116も同じメモリ構成と製品番号なためである。
位置的に価格としてはだいぶ値上げされているように感じるが RTX 3060がこの位置なため仕方ないだろう。

CUDA数

CUDA数は他のRTX 30series同様に大幅な引き上げされたが、デスクトップ版のRTX 3060は3584にとどまっている。
3584といえば、Geforce GTX 1080 Tiと同じ数である、メモリ面でも11GBと12GBなので格安版のGTX 1080 Tiといえる。

RTコアは28、Tensorコアは112であるが、前世代のRTX 2060が30もしくは34、Tensorが240もあったことを考えるとだいぶスペックダウンされている。

しかし、このスペックダウンに関して基本的に安心してほしい。
RTX 30seriesではRTコアとTensorコアが連動連携するように動作していくことができるようになったため数が少なくとも同世代より1.5倍ほどの性能が上がっているのだ。

RTX 3060RTX 3060 TiRTX 2060
358448641920/2176
28 3830/34
112152240

ベース、ブーストクロック

クロックは前世代よりと大きな進歩はない。
Ampere世代はCUDA数をメインに大幅に数を増やして性能を上げていることからクロック面では今回は見送ったと言える。

RTX 3060RTX 3060 TiRTX 2060
ベースクロック1.32GHz1.41GHz1.37/1.47GHz
ブーストクロック1.777GHz1.66GHz1.68/1.65GHz

とはRTX 3060ではベースは従来程度だが、ブーストは割と早めな1,77GHzである。
この速度は大体RTX 3070 Tiと同じ水準であり、少し早いとわかる。

メモリ

今回RTX 3060 12GBが注目の目玉であるメモリは192bit系のGDDR6 12GBを搭載しているのが特徴。
RTX 3060 Tiが8GBであるため、4GBも多く搭載していることがうかがえる。

しかし、メモリパスの関係上192ビットはメモリが6個載せられる構造なので、6GBもしくは12GBのどちらかしか設定できない関係もあるのも大容量の原因だ。

近年は6GBのメモリでは不足気味な状況が多いことも有り、12GBを乗せることに対処したのだろう。
後にRTX 2060でも6GBに加えて、スペックが2060 Superに準じた 12GB版も登場している。

一方でRTX 3060の最大の弱点はメモリ帯域幅と言える。
RTX 2060が336GB/sなので多少は伸びていたが、それでも微力程度である。
RTX 3060 Tiが448GB/sナノに対して、RTX 3060は360GB/sしかなく、この数値はWQHD以上の環境ではフレームレートを出すのが難しい水準レベルなのだ。

後にRTX 3060 TiはGDDR6X版に更新されて、604GB/sまで増加され、性能はよりかけ離れている。

RTX 3060 12GBRTX 3060 TiRTX 2060
メモリパス192bit256bit192bit
メモリクロック15Gbps14/19Gbps14Gbps
メモリ形式GDDR6GDDR6/GDDR6XGDDR6
メモリ容量12GB8GB6/12GB
メモリ帯域幅360GB/s448/604GB/s336GB/s

TDP/消費電力

Ampere世代の最大の弱点の消費電力やTDPはRTX 3060でも影響を受けており、前世代と比較して10wも増加している。
RTX 3080やRTX 3070 Tiが215w→320w、215w→290wなので、これらはGDDR6Xというので比べるとまだましだが、少なからずCUDA数の大幅増加も影響が大きいのである。

170wという数値はミドルクラス目線で見れば非常に消費電力が高い水準だ。
GTX 1060が120wだったので、そう考えると50wも大きくなっている。

RTX 3060 12GBRTX 3060 TiRTX 2060
TDP170w200w160/185w
必要電源550w650w500/550w

なお、電源コネクタは8Pinさえあれば基本的に足りるが、一部のモデルは8Pin+6Pinと言ったモデルも存在する。

価格

気になる価格は329ドルからと、以前のRTX 2060と比べると20ドルほどね下がったが、肝心なRTX 3060 Tiと比べるとメモリ面でもCUDA数面でもたったの70ドルほどしか値段が変わらないことを考えると、あまりコスパは良くない。

おそらくこれ以上の値下げは難しいのは12GBメモリとかでこれ以上の値下げが厳しいと思われる。
仮に6GBであればもう少し値下がりをしていたのだろう。

RTX 3060 12GBRTX 3060 TiRTX 2060
329ドル399ドル349ドル

1CUDA数の価格は0.0917ドルで、RTX 2060と比べると約半額になっている。
しかし、RTX 3060 Tiが0.082ドルなのでやはりコスパが悪いのは間違いない。

RTX 3060 12GBRTX 3060 TiRTX 2060
0.0917ドル0,082ドル0.1817ドル

理論性能値

理論性能はRTX 3060は12 TFLOPSとRTX 2060よりも2倍近くも上がった。
しかし、理論性能値と実際のゲーム性能では環境が大きく異なることもあり、あくまで性能面での数値目安と考えたほうが良いだろう。

なお、12,74 TFLOPSで前世代の同じものと言えば RTX 2080 Tiの13.45TFLOPSに近い水準であることだ。
RTX 3060の弱点であるメモリ面はRTX 4070 Tiなどの21GbpsのGDDR6Xに換装すればRTX 2080Superまでの性能水準に行けると言える。

RTX 3060 12GBRTX 3060 TiRTX 2060
12.7416.26.451

ベンチマーク

ここまでスペックの詳細や価格面などを紹介をしてきたが、実際の性能は果たしてどれくらいなのか?
RTX 3060のユーザー層はFHD版が主となるため、FHDのゲームを主にベンチマークを確認してみた。

ゲーム性能

RTX 3060のFE画像
出典元:NVIDIA公式サイト:https://www.nvidia.com/en-gb/geforce/graphics-cards/30-series/rtx-3060-3060ti/

FHD

RTX 3060のFHDの結果はこの様になった。

するとAPEXでは141FPSで144FPSでも遊べる水準である一方で、サイバーパンクやフライトシュミレーターなどの重たいゲームソフトは60FPSに満たない。

RTX 3060 12GB
Apex
141.8
Cyberpunk 2077
58.7
Elden Ring
73.7
Microsoft Flight Simulator
37.5
Valorant
256.2
RTX 2060
Apex
123.6
Cyberpunk 2077
48.8
Elden Ring
63.2
Microsoft Flight Simulator
31.9
Valorant
214.1
データの出典元:GPU CHECK様
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3DMark

3D Markの性能は以下の通り。
世代的な2つに加えて、スペックに近い水準のRTX 2070やRTX 3060 Tiも入れた。

なお、RTX 3060 Tiの関してはGDDR6版の販売が終了していることも有りGDDR6X版を掲載している。

3D Mark
RTX 3060 Ti GDDR6X
12221
RTX 2070
8937
RTX 3060
8699
RTX 2060
8023

性能はやはりと言えるか、RTX 3060 Tiと比較するとだいぶ性能のかけ離れが大きいことがわかる。
RTX 3060の最大の弱点である メモリが今回のAmpere世代でかなり足かせになっている。
それでもRTX 2070に近い水準の性能は出せていることから GTX 1080の性能に準じたものと言えるだろう。

データの出典元:Benchmarks様

実際の消費電力

RTX 3060の消費電力はどれくらいなのか。
なお、RTX 3060は前世代とは異なりFounders Editionモデルが存在しないので、代わりにEVGAのモデルで掲載する。

実際の消費電力はアイドル時は13wで、ゲームプレイは181w、最大瞬間電力は198wであり、実際のTDP 170wより少し高めな水準だ。

ちなみに RTX 2060のゲーム時の消費電力は164wなので15wほどとかなり高め。

RTX 3060(EVGA GeForce RTX 3060 XC Review)
アイドル時
13w
ゲームプレイ
181w
スパイク
198w

日本での評価

単品

RTX 3060 12GBの小売希望価格は¥49,980からであるが、最近は需要減少やRTX 40seriesの登場で在庫処分といった事情もあり現在は以下の金額のモデルが多くなってきており、今となれば買いといえる。

ただし、RTX 3060は8GBモデルのも存在し、8GB版と12GBの性能はかなり大きい割に価格は対して変わらないので、可能な限り12GB版をおすすめする。

BTO

RTX 3060の相場では13万円頃から買える。
RTX 3060の性能はそこまで高くないため、Core i5 12400といったCPUでも性能面的にネックになることはあまりなく、Core i9 13900KやCore i7 12700Kといった高性能なCPUを無理に選ばなくてもそこまで問題ない。

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ヒストリー

今となればRTX 3060は動画編集のクリエイターやFHDのゲーマーにも重宝される人気のGPUになったわけだが、登場当時は色々問題だらけが多かったのはご存知だろう。

RTX 3060の発売されるのが良いが、早速の問題が…

NVIDIAはRTX 2060の後継モデルとして、GA106チップを載せたRTX 3060を開発をしていた。
RTX 3060は当時ユーザーからはRTX 3070がRTX 2080 Ti、RTX 3060 TiがRTX 2080Superだったから、RTX 3060はRTX 2070 Superと同じ性能と期待をして待っていた。

ところが発売直前に3Dmarkなどのベンチマークなどを先行に掲載するとなると、RTX 2070Superの同等どころかRTX 2060 Superでさえ下回っていたのだ。

これにはユーザーも炎上して、RTX 3060 PVの動画に当時のYoutubeは低評価表示もあったので、高評価より低評価の多さほど物語っている。

しかし、性能の酷さの原因としてはNVIDIAのドライバー性能がきちんとテストしてなかったことが最大の原因だ。

RTX 3080の突然終了などのドライバー不具合によるテストの甘さが今回の商品で2回目でも発生した。
今でこそ、RTX 2070ほどの性能になっており、当時予想したRTX 2070Superまで行かず、Ampere世代の中でもあまり評判が良くないのは変わりはなかった。

マイニングの回避できるはずが…

RTX 3060が登場するときはすでに、コロナの真っ最中であり、更には半導体の工場が閉鎖なども有り完全に不足状態が陥っていた。
その中で登場したので、かかくは329ドルにも関わらず、日本円では7万円程度からというRTX 3060 Tiよりも高価だった。

半導体の不足のもう一つの原因はマイニングブームが突入機であったこと。
一般的にマイニングで最適なものと言えばCUDA数の多さにより性能が出やすかったりする。

このため、RTX 30seriesではCUDA数が大幅に増やして性能向上したのでマイニングにとって目につけられたのである。

そこでNVIDIAはRTX 30seriesの今後製造されるRTX 3060を始めとして、ハッシュレート制限を入れたドライバーを対応することにした。

その中でRTX 3060は最初から制限が加わっているので解除方法がなくマイナーからは嫌っていた。

しかし、NVIDIAは 470.05ドライバーを導入したことにより、ハッシュレートの設定解除ができるようになってしまい、RTX 3060も目をつけられるようになってしまう。

その結果RTX 3060でも、品薄状態が発生してしまった。

RTX 3050の登場で最下位モデルから外れる

RTX 3060が登場してしばらくして、その後もエントリーモデルが登場することがなく、2021年6月にはRTX 3080 TiやRTX 3070 Tiといった上位モデルが、翌年の1月にはRTX 3080 12GBが発売された。

そして同月にNVIDIAは正式に新しいモデルを導入することを発表。
最上位モデルのRTX 3090 Tiと最下位モデルのRTX 3050を発売することになった。

ずっと長らく最下位だったけど、このRTX 3050の投入によりついにRTX 3060は最下位モデルから外れるようになった。

なお、その頃になるとリーカーからのRTX 40seriesの細かな情報が入るようになり、RTX 3050の投入は例年に比べればかなり遅めと言えるほどの登場だった。

タイタン

これまでライバルGPUが存在しなかったから、無理に投入してなくても商売に問題ないと思ったんだな…
(RX 6500 XT等がライバルだと思います)

マイニングが終了し過剰在庫…そんな中で8GBモデルも導入へ

2022年の6月頃にマイニングのPoS化にともなって、ついにマイニングブームが下火に。
ところが、NVIDIAはマイニング対策や需要に応じて、大量に製造をしたが急激な下火に応じることができず、結果としてRTX 3080などを始めとする RTX 30seriesやGTX 16seriesなどのGPUが過剰在庫になってしまった。

しかし、もうすでにRTX 40seriesの準備を進めており、リーカーからの情報により買い手が少なくなってしまうことを予想したNVIDIAはRTX 3080 12GB以上のモデルを値下げに踏み切ったが、比較的需要の高く置き換えに時間がかかりそうなRTX 3080 10GB以下のモデルは値下げをせず、据え置きで発売をしていくことにした。

しかし、需要の減少は収まらず、ゲーミング部門の収益が3割の減少に焦ったNVIDIAはRTX 3080 10GB以下を残して、それ以上の上位モデルはRTX 40seriesに置き換えることにした。

そのため、RTX 3060も例に漏れず、当面の間は残り続けるGPU担ってしまった。

そして10月にNVIDIAはRTX 4090を発売、そして同時期に既存のモデルに新たなバリエーションを突入することも。

今までのRTX 3060は192bit12GBモデルとして発売されたが、新たに128bit8GBモデルを突入した。
8GB版と12GB版との違いはメモリ面だけで他に変更はない。
しかし、RTX 3060はただでさえメモリで性能が良くない状況なのでより改悪することに。

しかも、価格が12GB版よりも高価で登場しやはり売れなかった模様、その後は値下がったが、12GB版と対して価格が変わらないため、同じ8GBで狙うならRTX 3070やRTX 3060 Tiなどを買う人が多かった。

その後はどうなる…

先代となるRTX 2060が2022年11月にいよいよ製造が終了したという噂が流れた。
8GB版はおそらくRTX 2060の置き換えをするために投入をしたかもしれないと個人的な予想している。

しかし、RTX 2060が発売されたのは2019年1月だったので4年近くも発売されていたことになる。
最近は性能の伸びがあまり伸びなくなってきたのか新しく下位モデルを突入するより旧型のミドルクラスを導入したほうがコスト面的に安いのか、長く販売する傾向が出てくるようになった。

RTX 3060が導入したのは2021年の1月なので、すでに2年以上は経過している。
RTX 40seriesもすでに登場して、RTX 4060やRTX 4050といったGPUも登録したという噂があること、ノートPC向けにエントリーGPUが含まれていたことから、今後は置き換えをする可能性は否定できない。

しかし、RTX 4060でも性能は良くなるとは言え一つだけ超えられない部分がある。
それがメモリ容量の多さ。

RTX 4060は8GBで登場すると言われている、RTX 3060は8GBと12GBもあり、メモリが少ないのにこれを置き換えるのは難しい。

最近はデスクトップのエントリーモデルに消極的な状況も有り、夏頃までは残りそうだが、RTX 2060やGTX 1650のように長く発売されることは難しいのである。

また、RTX 40seriesで最大の弱点なのが、価格が高すぎる点。
いくら性能を上がるにしても噂によればRTX 3070程度で悪いところだとRTX 3060 Tiぐらい。

もちろんゲーム性能が快適になるので嬉しいことだが、RTX 4080が500ドル、RTX 4070 Tiが200ドルも上がっているとなると購入コスパが旧型と全く変わらないどころか逆に値上がりしてコスパが悪くなるという可能性も否定できない。

この値上げはTSMCのウェハの価格が高すぎることやGDDR6Xメモリの高さなども挙げられるが、RTX 30seriesの在庫処分の理由も値上がっている要因であろう。

そのため、何が言いたいかというと基本的に今買ったとして昔みたいに損しにくいこと。

まとめ

RTX 3060は様々な経緯があって特にとても迷いにあったGPUでした。
それでも今でこそメモリの量の多さからクリエイターからも人気強く、現在ではおすすめに入るほどまで上昇してます。

良いところ
  • 12GBメモリは動画編集に有利
  • 現在は4万4000円からと非常に安くなってきている。
  • BTOでは13万円台からと格安ゲーミングとして主流に
悪いところ
  • RTX 3060の性能はWQHDや4Kは厳しい
  • 同じモデルなのに性能差が大きい8GB版と12GB版の2つ有り紛らわしい(RTX 3080も同様)
  • コスパがあまり良くない
  • NVIDIAのRTX 3060に対しての雑さがかなり気になる(ドライバーや待遇性等)

Geforce RTX 40series

RTX 4090

Geforce RTX 30series

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