9月27日に発売された、Ryzen7000seriesの最下位モデル、Ryzen5 7600Xのスペック詳細していく。
- https://www.techpowerup.com/review/amd-ryzen-9-7950x/
- https://www.techpowerup.com/review/amd-ryzen-9-7900x/
- https://www.techpowerup.com/review/amd-ryzen-7-7700x/
- https://www.techpowerup.com/review/amd-ryzen-5-7600x/
- https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-cinebench_r23_multi_core-16
- https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-cinebench_r23_single_core-15
Ryzen 5 7600Xのスペック概要
Ryzen 5 7600Xのスペック概要と、先代 Ryzen 5 5600Xやライバルに当たるCore i5 12400なども比較してみた。
スピードが早くなったが価格は維持。
ただし円安のせいで2倍ぐらいの価格に値上げ!Core i5 12600Kよりも高額。
Ryzen 5 7600X | Ryzen 5 5600X | Core i5 12600K | Core i5 12400 | |
---|---|---|---|---|
コア数 | 6 | 6 | 10 (P6+E4) | 6 |
スレッド数 | 12 | 12 | 16 | 12 |
ベースクロック | 4.7GHz | 3.7GHz | P:3.7GHz E:2.8GHz | 2.5GHz |
オーバークロック | 5.3GHz | 4.6GHz | P:4.9GHz E:3.6GHz | 4.4GHz |
L1キャッシュ | 1MB | |||
L2キャッシュ | 6MB | 3MB | 9.5MB | 7.5MB |
L3キャッシュ | 32MB | 32MB | 20MB | 18MB |
TDP | 105w | 65w | 125w | 65w |
価格【ドル】 | 299ドル | 299ドル | 299ドル | 199ドル |
日本価格【1ドル140円想定】 | ¥54,000 | ¥25,480 | ¥38,450 | ¥25,460 |
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Ryzen 7000series共通事項
Ryzen 7000seriesでは、先代と比較してこのように進化を遂げた。
Ryzen 7000 | Ryzen 5000 | Ryzen 4000 Ryzen 3000 | Ryzen 2000 | Ryzen 1000 | |
世代 | Zen4 | Zen3 | Zen2 | Zen+ | Zen |
プロセス | 5nm | 7nm | 7nm | 12nm | 14nm |
I/Oダイ | 6nm | 12nm | |||
コア | 6~16 | 6~16 | 4~16 | 2~8 | 2~8 |
スレッド | 12~32 | 12~32 | 8~32 | 4~16 | 4~16 |
CCX | 8? | 8 | 4 | 4 | 4 |
TDP | 65~170w | 65~105w | 65~105w | 65~105w | 65~105w |
L1キャッシュ | 1MB | 512KB | 512KB | ||
L2キャッシュ | 1コア:1MB | 1コア:0.5MB | |||
L3キャッシュ | 32,64MB | 16,32,64,96MB | 8,16,32,64MB | 8,16MB | 8,16MB |
内蔵GPU | RDNA2搭載 | GのみVega搭載 それ以外なし | なし | なし | なし |
Ryzen 3000series以来のプロセスルールが変化したのも大きい。
また、I/Oダイも変化し、小さいながらもL2キャッシュも1コア1MBに変わっていた。
Ryzen 5 7600Xの特徴1:スペック
前代のRyzen 5 5600Xと比較して、今回も引き続き6コアが採用された。
Ryzen 5は初代モデルが6コアモデルで2017年に登場して以来、コア数スレッド共に変わっていないのが気になるところ。
だが、中身は徐々にシングルスレッド向上やCPUが元々6コアでも2つに組み合わせだったのが1個になったりなどいろいろ変化している。
周波数も1GHzも上がっており、ベースクロックでもさえ4.7GHzとかなり高水準と言えるほど高速だ。
オーバークロックに関しても5.3GHzまで上げており、Ryzenの弱点だった周波数が今回は5GHzの壁は乗り越えたと言える。
そしてもちろんRyzen 5 7600Xも今回はシングルスレッドが大幅に向上したほか、RDNA 2 (2CU)Ryzen 7000series共通の内蔵GPU標準搭載はこのモデルもある。
Ryzen 5 7600Xの特徴2:価格とTDP
再びTDPの方が65wから105wへ戻った、価格についてはドルは維持、日本円が大幅値上げ。
性能を上げてしまったのでTDPは上昇してしまったのである。
Core i5 12400や12600Kと比較するとスペック的に不利な状況なRyzen 5であるが、今回は前回の売りだった消費電力もまで不利になってしまう。
Ryzen 5 7600Xと競合商品
Ryzen 5 7600Xの競合商品に当たるのはintelのCore i5 12400もしくはCore i5 12600Kである。
しかし、Core i5 12600KはPコアの6個に加えてEコア4つ付きの10コアも持っていて
性能的に競争にならないことから、やはりCore i5 12400。
Core i5 12400はCore i5 12600Kと違いEコアがつかない、Pコアの6個体制の6コアCPUである。
スペック的にコア数は同じであるが、周波数はRyzenが高速で出せる。
Ryzen 5 7600X | Core i5 12600K | Core i5 12400 | |
---|---|---|---|
コア数 | 6 | 10 (P6+E4) | 6 |
スレッド数 | 12 | 16 | 12 |
ベースクロック | 4.7GHz | P:3.7GHz E:2.8GHz | 2.5GHz |
オーバークロック | 5.3GHz | P:4.9GHz E:3.6GHz | 4.4GHz |
だが、問題なのは価格であり、Core i5 12400は199ドル、Ryzen 5 7600Xは299ドル。
1万円以上も価格差があるこの状況で果たして買うメリットがあるのだろうか?

さらに言えば第13世代では、Core i5 13500以上が14コア、Core i5 13400でもさえ10コアだ。
Ryzen 9はオールPコアの数で挑めるが、半分にもなるRyzen 5やRyzen 7はCore i5でもさえ手が届かない。
Ryzen 5 7600Xと比較ベンチマーク
さて、スペックの方は紹介してきて、明らかにインテルに比べてコア数が少なくマルチスレッド面では不利なのはおわかりだろう。
ただ、Ryzen7000seriesは周波数を全体的に上げているのが売り、果たしてインテルの性能を超えるか。
今回はRyzen 5 7600Xの他に同時期に登場した他3種と、先代の5000seriesの、Ryzen 9 5950X/5900X、Ryzen7 5800X3D/5800X/5700X、Ryzen 5 5600X
競合相手のインテルのうちCore i9 12900KとCore i7 12700Kと12700、Core i5 12600Kと12400、Core i3 12100と比較していく。
Ryzen 5 7600Xと比較ベンチマーク:シングルスレッド編
まず性能紹介でシングルスレッドではどのくらいか
ベンチマークサイトCinebench R23 (Single-Core)での、結果はCore i7 12700KとCore i9 12900Kとほぼ同等。
シングルスレッドでは上位モデルと比較すると落ちるが、それでも第12世代intelのCPUに食い込む性能を持っており、Ryzenでも負けていない。
かつてのRyzen 5 5600Xではシングルスレッドは上がったがやはり2年も経過すれば大きく上がったことがわかる。
Ryzen 5 7600Xと比較ベンチマーク:マルチスレッド編
Cinebench R23 (Multi-Core)
Cinebench R23 (Multi-Core)ではやはりといったところ、Core i5 12600Kより大幅に下回る結果に。
相手が10コアなのでいくらシングルスレッドが上がったとしても4コアの差は歴然なところ。
しかし、Ryzen 7 5800Xとほぼ同等の性能を引き出しており、Ryzen 5 5600XのときのようにRyzen 7 3700Xとほぼ同等で出せていたのでRyzen 5 7600Xでも同じように再び表した。
Core i5 12400に対しては2割ほど高い性能を引き出しており、性能的に6コアでありながらもあまり悪くはない。
とはいえ、Core i5 12600Kと同じ価格なので、決して良いとはいえない。
Ryzen 5 7600Xと比較ベンチマーク:ゲーム性能
さて、ゲームの性能はどのくらいまで上がっているのか気になるところ。
今回は白黒が付きやすい4K画質を元に、RTX3080を搭載した結果である。
バトルフィールド5
バトルフィールド5では127FPSほどの結果に。
6コアしかないにも関わらず、最上位モデルのRyzen 9 7950Xと比較しても2FPSほどしか変わらない。
このゲームはインテルに対して若干の優位性があるじゃないかと思われるが、Ryzenでも少ないコアでありながら性能を引き出しているため、あまり差がない。
Age of Empires Ⅳ
Age of Empires Ⅳでは完全にインテルに負けており、このゲームではインテルに最適化されているのがおわかりだろう。
ただ、先代のモデルに比較して格段にフレームレートは上げていることは間違いないので、改善されたのであろう。
あとはこのゲームタイトルがインテル最適な環境になっているのでAMDにも最適化すれば間違いなく強いはず。
Cyberpunk2077
Cyberpunk2077では、すでに頭打ちの結果に
全てのモデルにて40FPS止まりになっており、おそらくGPUに依存しているものと思われる。
Ryzen 5 7600Xと比較ベンチマーク:クリエィティブ性能
Adobe After Effects
Adobeのソフトウェアはどうなのか?
なお、Adobeのソフトは近年、GPUがエンコードに最適化されており、PhotoshopやPremier Proではあまり差がないことが判明したため、省略。
そこでCPUに依存しやすいafter effectsで比較。
このソフトはPremiere Proと同じ動画編集であるが、こちらはモーションやエフェクトを主に作成する高度な動画編集である。
結果的にはCore i5 12600Kに迫る速度である。
コア数が少ないので当然ながら厳しい結果であるが、それでも16コア搭載のRyzen 9 5950Xよりも早い。
先代と比較すると20秒ほど早く完成しており、もっと重い処理だったら更に差が出るだろう。
Ryzen 5 7600Xの消費電力
消費電力ではRyzen 7 5800Xとほぼ同等に改悪化されており、周波数を大幅に上がった代償として言えるだろう。
そして、なんとCore i5 12600Kよりも10wほど高いのである。
Core i5 12600Kでもかなり消費電力が高いと思っていたのにそれよりも高い!
これは意外な結果で、第12世代のCPUは10nm、Ryzen7000は5nmと2倍ほどの大きさにも関わらず7600Xのほうが高いのは驚きを隠せない。
今回このCPUを選ぶ際は5800Xや5950Xなどのクーラーレベルが必要となるのできちんとしたものを選んだほうが良さそうである。
Ryzen 5 7600Xの評価
Ryzen5 7600Xの評価としては「これは買いじゃないな」という言ったところ。
せめてRyzen 5 5500と同じ149ドルぐらいまで値下げとかしないとインテルには完敗するところ。
第12世代でさえCore i5 12600Kに完敗してこの状況なので、更にスペックが上る見込みがある、第13世代頃には更に差が付き、早々に値下げはされる可能性は高いかもしれない。

というかCore i5 12600Kが強すぎるんだよな
性能 | |
ゲーム評価 | |
クリエィティブ評価 | |
消費電力 | |
価格 | |
全体評価 |
まず、性能面はCore i5 12400より少し上くらいほどで、Core i5 12500やCore i5 12600と同じくらい。
ゲーム性能は6コアであっても16コアモデルのRyzen 9 7950Xとあまり変わらないのは魅力的で格安なゲームとしての選択はありかもしれない。
コストパフォーマンスに関してはRyzen 7 7700Xと比較すればまだましであるが、それでも悪いのには変わりはない。
Ryzen 5 5600Xの頃はまだインテルが通常モデルで6コア12スレッドが出してない時代で、少し価格が高くともかなり売れていた。
だがこれも時代で、かつての6コアはエクストリームエディションという名をつける高スペックだった時代が、今となればロークラスになってしまった。
今後の世代CPUが上がるかまだ不透明だが、良いところとしてはAM5が2025年までサポートする模様で、最近のサイクル状況で言えばもう1世代後のまでは少なくともCPU交換だけで済むはずだ。
ということから、Ryzen 5 7600Xは買い替えを頻繁にする目的以外ならコスパは悪い、そんな評価でした。
同じ価格なら Core i5 12600Kが良い、もう少しお金を出せるなら Core i7 12700
価格がとにかく大きなデメリットなので、同じCPUの価格であればCore i5 12600K、日本円になるとCore i7 12700くらいで買えてしまう。
そのためこちらの選択としてが基本的にいいだろう、格安DDR4も使えるしコア数が多い。
消費電力はかなり高くなったり、ゲーム性能が少し低かったりするがあまりこの辺のユーザーは妥協はできるはずだ。
格安なら Core i5 12400、あとは…前代でもいいかも
同じ6コア12スレッドであれば、Core i5 12400かCore i5 12500とかの方がまだ安い。
Core i5 12600Kと違いEコアもないしオーバークロックもできないけど、それでも高速なのでゲームするには十分すぎるほどだ。
逆に言えばこれ以上のモデルはゲームだけに限ればオーバースペックにすぎないのだ。

