9月27日に発売された、Ryzen7000seriesの最上位モデル、Ryzen9 7950Xのスペック詳細していく。
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Ryzen 9 7950Xのスペック概要
Ryzen 9 7950Xのスペック概要です、前世代のRyzen 9 5950Xと比較して16コアと変わりなし。
ただし、ベースクロックやオーバークロックが大幅に早くなっていたり、100ドルの値下げされています。
他にもL2キャッシュが倍に増えたり、Rena2の内蔵GPUが標準搭載。
Ryzen 9 7950X | Ryzen 9 5950X | Core i9 12900K | |
---|---|---|---|
コア数 | 16 | 16 | 16 |
スレッド数 | 32 | 32 | 24 |
ベースクロック | 4.5Ghz | 3.7Ghz | 3.9Ghz |
オーバークロック | 5.7Ghz | 4.9Ghz | 5.2Ghz |
L1キャッシュ | 1MB | ||
L2キャッシュ | 16MB | 8MB | 14MB |
L3キャッシュ | 64MB | 64MB | 30MB |
TDP | 170w | 105w | 125w |
価格【ドル】 | 699ドル | 799ドル | 599ドル |
日本価格 | ¥117,800 | ¥74,000 | ¥80,853 |
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Ryzen 9 7950Xの特徴1:スペック
前代のRyzen 9 5950Xと比較して、今回も16コアのまま引き続き採用された。
16コアは2019年の第3世代から長らく採用しているため、あまり変わったような感じはしにくいが16コアモデルに関して下のモデルに比べるとかなり進化してコスパがだいぶよくなっており、今回は一番の魅力な商品であろう。
しかし、第7世代のRyzen7000seriesから採用した内蔵GPU標準搭載はもちろんこのモデルにもついた。
Ryzen 9 7950Xの特徴2:価格とTDP
先代のRyzen 9 5950Xと比較すると性能だけじゃなく、価格とTDPも大幅に上がってしまった。
まず価格は799ドルから 699ドルとインフレ情勢の中での値下げであり、以前よりお手頃な価格になったのは魅力。
ただ、円安のせいでこの値下げは台無しで12万円ほどかかるようで、intelのCore i9 12900Kと比較したら改善したのか微妙に。
TDPは先代は105wで16コアにしては省エネでお手頃だったが、今回はより性能を引き出すために170wへと引き上げてしまった。
ただそれでもライバルのCore i9 12900Kが125w表記なのに300wほど消費する爆熱な状況に比べると全然おとなしいと言える。
Ryzen 9 7950Xと競合商品
Ryzen 9 7950Xと競合する商品といえば、intelのCore i9 12900Kであろう。
これらのCPUを簡単に紹介していくと、とにかく「性能重視」
電力、コストパフォーマンス無視でとにかく性能を重視ていく向け。
Core i9 12900Kと比較していくと、コア数は同じ16コアで引き分け、スレッド数はCore i9 12900Kが24スレッドで、Ryzen 9 7950Xは32スレッド、つまりはRyzenのほうが有利である。
更にintelはP+Eコアの構成に対し、RyzenはすべてPコアであるために性能面では抜群なのは間違いない。
ただ、価格の方は消費電力も考慮をしてもCore i9 12900Kの方がまだ安い。
Ryzen 9 7950Xでもハイエンドクラスの中では消費電力はまだまともだが、前世代と比較するとだいぶ上がっていて省エネとはいえなくなってきた。
Zen3からZen4に変わり、AM4の時代終わり、AM5へ更新。
CPUはZen4へと切り替わりました、CPUの形が大きく変わっており
プロセスルールがTSMC 7nmから5nmへと縮小し同じ性能でも省電力が期待できそうです。
また、I/Oダイに関しても12nmから6nmへ縮小しました。
1000シリーズから続いたAM4型はB450やX570などのマザーボードは今回で互換性が皆無
AMDは互換性の長さが強みだったが、設計そのものを作り直したものなので今回は仕方ないかと
なお、Ryzen7000シリーズはX670、X670EやB650、B650Eなどのマザーボードに対応します。
また、メモリに関しても最新規格のDDR5に変更、ついにDDR4が使えなくなります。
Ryzen9 7950Xと比較ベンチマーク
今回は比較として、Ryzen 9 5950XとCore i9 12900Kも一緒に掲載。
Ryzen9 7950Xと比較ベンチマーク:シングルスレッド編
1コアあたりの性能の比較です。
シングルスレッドは基本的にゲーム性能に関わってくるため重要な比較部分です
シングルスレッド1:Cinebench R23 (Single-Core)
ベンチマークサイトCinebench R23 (Single-Core)での、結果はRyzen 9 7950Xがトップ
過去最速だった、Core i9 12900Kを圧倒的にこえることに成功したといえよう。
インテルの場合P+Eなので、シングルスレッド面ではオールPコアのAMDが圧倒的に有利。
かつてのAMDのRyzenの弱点だった、シングルスレッドは今現在では最速になっていて、コア数は変化なしでもだいぶ変わったと言える。
Ryzen9 7950Xと比較ベンチマーク:マルチスレッド編
シングルスレッドは最強クラスになったものの、肝心なマルチスレッドの方はどうなのだろうか?
マルチスレッドに関してはCPUのコア数は16コアのまま、一応ライバルのCore i9 12900Kは16コアであるものの、AMDが脅威な相手、第13世代intelのCore i9 13900Kは24コア、その下のCore i7 13700Kは16コア
スレッド数は同じでも、コア数だけで1.5倍も違ってくるため果たしてどうなるか!?
Cinebench R23 (Multi-Core)
Cinebench R23 (Multi-Core)でも最速。
元々Ryzen 9 5950Xでも2年ほど最速を維持してこれまで抜かすものはなかったが、更に上を向けた。
インテルはP+Eで、Eコアはハイパースレッド未対応、RyzenはオールPなので、1コアあたりを上げればこのような結果になるだろう。
日本円が円安状況なのでコスパは少し見劣るが、100ドルも安ければコスパは悪くないと言える。
マルチスレッドはRyzenがやはり強い
RyzenのCPUは昔からマルチスレッドが強みだったが、シングルスレッド数値が上がったことにより、マルチスレッドにも反映され、今回はかなり早いものとされている。
Ryzen9 7950Xと比較ベンチマーク:ゲーム動作
さて、gamesの性能はどのくらいまで上がっているのか気になるところ。
今回は白黒が付きやすい4K画質を元に、RTX3080を搭載した結果である。
バトルフィールド5
バトルフィールド5では129FPSで、Core i9 12900Kと比較すると1FPSの差で性能に見劣る。
たが、これは誤差の範囲なのでどちらを選んでもあまり変化は体感では感じにくいであろう。
Age of Empires Ⅳ
Age of Empires Ⅳでは完全にインテルに負けており、このゲームではインテルに最適化されているのがおわかりだろう。
ただ、先代のモデルに比較して格段にフレームレートは上げていることは間違いないので、改善されたのである。
あとはこのゲームタイトルがインテル最適な環境になっているのでAMDにも最適化すれば間違いなく強いはず。
Cyberpunk 2077
Cyberpunk2077では、すでに頭打ちの結果に
全てのモデルにて40FPS止まりになっており、おそらくGPUに依存しているものと思われる。
Ryzen9 7950Xと比較ベンチマーク:クリエィティブ性能
Adobe After Effects
Adobeのソフトウェアはどうなのか?
なお、Adobeのソフトは近年、GPUがエンコードに最適化されており、PhotoshopやPremier Proではあまり差がないことが判明したため、省略。
そこでCPUに依存しやすいafter effectsで比較。
このソフトはPremiere Proと同じ動画編集であるが、こちらはモーションやエフェクトを主に作成する高度な動画編集である。
結果はCore i9 12900Kにわずかに及ばない77秒ほど。
だが、Adobeにはインテルに最適している傾向があってAMDの方はメモリが重くなる傾向がありエンコード時間もかかることが多いが、それでもかなり早くなって肩を並べるほどで、選択肢としてもありだろう。
Ryzen9 7950Xと比較:消費電力
最後は消費電力の方はどうなのだろうか?
消費電力は先代のRyzen 9 5950が221wだったのが、355wまでに引き上がってしまってしまい、Core i9 12900Kに近い爆熱に。
かつてのAMD良さ、ハイエンドでも省エネは今回はそうと言えない結果へ。
取り扱う際は水冷クーラーにしておきたいくらい消費電力が高いため、自作PCではかなり難しい部類であろう。
Ryzen 9 7950Xの評価

Ryzen 9 7950Xの評価は「円高反転まで買いではない」
性能 | |
ゲーム評価 | |
クリエィティブ性能 | |
消費電力 | |
価格 | |
全体評価 |
まず、性能面ではCore i9 12900Kと比較して、確かに電力面と性能は超えており、現状最強CPUといってもいいでしょう。
消費電力はTDPが増えたことにより前世代のRyzen 9 5950Xと比較してやはり上がっていますが、Core i9 12900Kと比較したらこれでもまだおとなしいもので、数値のとおりだ。
ゲーム性能では周波数が増えたので性能は伸びているものの、5800X3Dのような劇的な向上に至らないのが残念な面である。
ゲームの場合はCPUのコア数よりメモリやキャッシュが重要視され、周波数に関しては伸びるのは伸びるが、やはりキャッシュの影響力が大きい。
そしてRyzen 9 7950Xで一番のイマイチなのが「ドル値下げなのに日本円価格があまりにも高すぎる」
すでに価格が11万程度と意思表示されており、700ドルで12万円は円安によるものがほとんどであるが
それでも5950Xが現状7万円程度で買えるとやはりコストパフォーマンスは悪いものかと思われる
あとはAMDのRyzenの強みだった互換性がクーラー以外全部消えてしまったこと、メモリもDDR5しか対応できないこと。
全体的なコストで見ればだいぶ価格が5万円以上が高くなると覚悟はしたほうが良さそうである。
最後に余談で、AMDはゲーマー向けに3D版を出すという計画があるため、5800X3Dが好評な状況を見ると期待ができそうなのでゲーマーで待てる方は3D版を待ってみるのも手。
安く買うなら:Ryzen 9 7950Xでも悪くないしおすすめ
Ryzen 7000seriesの全体的に悪い面でもコスパ面であるが、7950Xに関しては元々がハイエンドであることや、Core i9 12900Kがどんどん値上がり状況から、今から買ってもコスパ面では悪くないであろう。
そのため、おすすめである。
ただやはり、Ryzen 9 5950Xの方が魅力的
やはり、魅力的なのはRyzen 9 5950Xの方。
ハイエンドなのに省エネなCPUなのが強みで、Core i9 12900Kとほぼ同じ性能に出せるのは中々いいCPUだからだ。
なお、今となれば価格面で見ればかなり魅力的なものになり、今後なくなるので早めに買ったほうがいいだろう。

ゲーム目的ならもう少し待った方がいい
コスパは悪くないということは言ったが、ゲームの場合はもう少し待つべきであろう。
結果のように先代と比較すると性能はたしかに上がったが、ゲームにおいてはあまり評価は良いとはいえない。
ただ、AMDは今後ゲーマー向けに3D版を発売される見込みで、Ryzen 9 7950Xの3D版である Ryzen 9 7950X3Dが発売されると噂されているため。
なぜ期待できるのはRyzen 7 5800X3Dにおける、ゲーム性能において一定の評価を得たからだろうから。
なお、7950X3Dはキャッシュが驚異の200MBであり、おそらくAMDではこれが本当の真打商品として意味合いを持つだろうか。
またintelでも第13世代がさらなるスペックアップをしており、コア数も順当に引き上げている。
シングルスレッドやIPCに関しても改善されていて、もっと強力なものになり得るだろう。
そのことからゲームだけに買うのは今はもう少し考えてもいいだろう。