近年、「地域通貨」という言葉を耳にする機会が増えました。
これは、従来の法定通貨(日本円など)とも、ビットコインのような国際的な仮想通貨とも異なる、新しいお金の形です。

仮想通貨ってよく聞くけど地域通貨は初めて聞いた
特に、地方自治体が主導して導入するデジタル地域通貨は、私たちの生活をどう変える可能性があるのでしょうか。
利用者目線で、地域通貨の本質と、従来の国際的な仮想通貨(ここではイーサリアムなど)との違い、そしてそのメリット・デメリットを徹底的に解説します。
地域通貨とは?仮想通貨との違いは?
地域通貨とは、特定の地域内でのみ通用することを目的として発行・流通されるお金です。



これまでの日本円は銀行とかで
近年、多くの自治体がスマートフォンアプリを使ったデジタル地域通貨を導入しており、これはWeb3技術(ブロックチェーン)を使っている場合と、従来の集中管理型サーバーを使っている場合があります。
特徴 | 地域通貨(デジタル) | 国際的な仮想通貨(例:イーサリアム) | 法定通貨(例:日本円) |
発行・管理者 | 地方自治体や特定団体 | 存在しない(分散型システム) | 中央銀行(日本銀行)と政府 |
利用範囲 | 特定の地域内、加盟店のみ | 世界中のネットワーク参加者 | 国全体 |
目的 | 地域経済の活性化、住民優遇 | 国境を超えた決済、プラットフォーム利用 | 汎用的な価値交換、国家の信用担保 |
価値の基準 | 日本円ベース(1コイン=1円が多い) | 市場の需要と供給(ボラティリティが高い) | 国家の信用、金融政策 |
システム | 集中管理型(Web2)が多い | 分散管理型(Web3/ブロックチェーン) | 集中管理型 |
地域通貨は江戸時代中期以前のようなものに近い
地域通貨の概念は、実は昔の日本経済に似た側面を持っています。
江戸時代中期以前、日本では各地で藩札(はんさつ)と呼ばれる藩ごとの紙幣が発行され、それぞれの領地内でのみ流通していました。
これは、現在の日本円のように国全体で使える共通通貨とは異なり、まさに地域経済に特化した通貨でした。
地域通貨は、この「地域内でのお金の循環」を現代のデジタル技術で復活させようとする試みだと言えます。
地域通貨のメリット



地域通貨を導入できるメリットは利用者からすれば何があるの?
日本円という依存を脱却できる(自治体目線)
これは自治体にとって最も大きなメリットですが、結果的に住民にも恩恵があります。



そもそも今の時代依存というのがいかに危険があるか
従来の自治体財源は、主に国からの交付金や住民税、ふるさと納税といった、国や他の地域から集められた税収に依存していました。
しかし、地域通貨を自治体が独自に発行することで、お金の管理・運用を自分たちで行えるようになります。
これにより、財源の悩みがある程度軽減され、地域住民が本当に必要としているサービスや施策に、より迅速にお金を回せるようになる可能性があります。
為替の影響がないか少ない
ほとんどの地域通貨は、日本円をベースにしており、「1地域コイン=1円」という固定レートを採用しています。
そのため、ビットコインのように激しい価格変動(ボラティリティ)に悩まされることがなく、安心して日常的な決済手段として使えます。
日本円の決済と比べても優遇している
地域通貨の最大の目的は、地域経済の活性化です。
そのため、発行元である自治体や関連団体は、地域通貨の利用を促すために、日本円での決済よりも優遇措置を設けることが一般的です。
例えば、「10,000円チャージすると、10,500コイン(500円分上乗せ)」といったプレミアムが付いたり、利用額に応じてポイント還元率が高くなったりします。
この優遇があるため、特に住民にとっては「地域通貨を使った方がお得」という経済的なメリットが生まれます。
日本円と比べると稼ぎやすい
日本円を稼ぐには、「仕事をする(ビジネス/雇用)」か「投資をする」のが原則です。
これは、お金に関する法律が厳しく、「利用者側が、日常生活の行動で利益を得る」仕組みがほとんどないためです。



実際あってもポイ活とかそんな感じになることが多い
しかし、地域通貨は、「地域に貢献する行動」を促進するために設計されているため、普通の生活をするだけで微力ながらも稼げる仕組みが導入されています。
- ボランティア活動への参加でコイン付与
- 健康増進のためのウォーキングでコイン付与(M2Eの仕組み)
- 地域内での買い物で高還元
このように、単なる労働や投資ではない、新しい形の「稼ぎ方」を地域通貨は提供します。
地域通貨のデメリット



地域通貨はなんとなくメリットはわかったけど、逆にデメリットはなにかあるかな?



地域通貨は始まりの概念はわかるけど
けど一方でデメリットのほうが実はわかりやすい



そうなんですか…
使用しているお店が少ない
地域通貨がまだ「始まったばかりの伝説」であるため、対応している店舗が少ないのが現状最大のデメリット。



これはねぇ、まず使いにくい。
大手のチェーン店や全国展開しているサービスでは使えないことが多く、利用できるのは地元の小規模な加盟店に限られることが多々あります。



PayPayやクレジットカード決済を下回る手数料などで魅力にないと使いたがらない
旅行者からすれば使いにくい
地域通貨のメリットが「住人向け」に設計されているため、旅行者にとっては使い勝手が悪いと感じるでしょう。



ICカードやクレジットカードのように全国に対応できるような通貨決済システムがあればなぁとは思う
まず専用アプリをインストールし、日本円からチャージする手間がかかります。
利用可能エリアの限定も地域ならではの特有でその地域を離れると、チャージしたコインは全く使えなくなります。
全国どこでも使える日本円とは異なり、利便性は大きく劣ります。
優遇措置も、短期滞在の旅行者にとっては微々たるものであり、本当にその恩恵を受けられるのは、日常的に利用する住民に限定されます。
投資用には向かない
地域通貨は、基本的に決済手段としての利用がメインであり、資産性(ボラティリティ)を上げる設計にはなっていません。
前述の通り、日本円に固定されているため、ビットコインのように「価格が急騰して莫大な利益を得る」といった投資用としては全く向いていません。



交換用と資産用は逆だからね、ここはちゃんと覚えよう!
将来的には為替になる可能性がある
現在の地域通貨は「1円=1コイン」で安定していますが、将来的に日本円の信用が大きく低下し、地域通貨の流通量が極端に多くなった場合、地域通貨同士で価値が変動する為替(交換レート)が生まれる可能性は十分にあります。
自治体が発行主体であるため、理論上は日本円とのデペッグ(固定解除)も可能であり、将来的な不安定要素の一つとして考えることができます。
WEB2システムなところがほとんど
これは少し専門的な話ですが、現在導入されている多くのデジタル地域通貨は、ブロックチェーンのような分散型(Web3)システムではなく、従来の集中管理型(Web2)サーバーを使っています。
これは、管理者が明確で運用しやすいというメリットがある一方で、データが集中管理されているため、ハッキングやシステムダウンのリスクが国際的な仮想通貨(分散型)に比べて高い可能性があります。
人口減少していく将来的には、よりセキュアなWeb3技術への移行が望まれます。
地域通貨は誰が得するの?
最も大きな利益を得るのは、間違いなくその地域に住む住民です。
- 稼げる手段が多い:日常の貢献活動で稼げる。
- 優遇された還元:日常の買い物で還元率が高く、実質的な支出が減る。
- 地域経済への貢献:地域内での消費が奨励されるため、経済が活性化し、最終的に自分たちの生活環境が豊かになる。
地域通貨は、「地域に住み、地域に貢献する人」に対する経済的なインセンティブとして機能するように設計されているのです。
地域通貨の将来性は?
地域通貨の将来性は、非常に高いと筆者は見ています。
それは、地域通貨が、従来の日本円では実現できなかった「差別化」を最も図りやすい分類だからです。
特に、若者をどういう感じで魅了するかが成功の鍵を握ります。
「歩くだけで稼げる」「住民同士のコミュニケーションに報酬がつく」といった、デジタルネイティブな若者の価値観に響く仕組みを取り入れやすいのです。
現在の日本円システムが抱える硬直性や、お金を稼ぐことの難しさを考えると、地域通貨は「今の日本円よりかは全然マシ」な、新しい経済の選択肢になりえます。
とはいえ、現時点では使える場面が限られているため、日本円と地域通貨を賢く併用するのが最も現実的で賢い使いこなし方だと言えるでしょう。地域通貨がどこまで「使える場所」を広げられるかが、今後の普及の試金石となります。