新しいパソコンやグラフィックボード(GPU)のスペック表を見ていると、「VRAM」という言葉を目にしたことはありませんか?CPUやメモリ(RAM)と並んで、パソコンの映像処理能力を大きく左右する、非常に重要なパーツです。

「VRAMって結局、何に使うの?」



「多いほうがいいって聞くけど、何GBあればいいの?」
そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、このVRAMが一体何者なのかを、初心者にも分かりやすく解説していきます。
VRAMは「ビデオメモリ」のこと
まず、VRAMは「Video Random Access Memory(ビデオランダムアクセスメモリ)」の略で、日本語では「ビデオメモリ」と呼ばれています。
パソコンには、CPUが使う「メインメモリ(RAM)」がありますが、VRAMはグラフィック処理に特化した、GPU(グラフィックボード)専用のメモリです。
GPUは、映像を描画するための膨大なデータを、このVRAMに一時的に保存しながら作業を進めます。
例えるなら、パソコンのメモリが「大きな机全体」だとすると、VRAMは「机の上にある、映像を描くための専用のスケッチブック」のようなもの。



液タブに近い感じだね。
GPUは、このスケッチブックに映像の情報を高速で書き込み、それをモニターに表示するという作業を、効率よく行っているのです。
VRAMは何をするための機能か?
VRAMの主な役割は、映像を描画するために必要な膨大なデータを一時的に保管することです。具体的には、以下のような情報が保存されます。
- テクスチャデータ: ゲームキャラクターや背景の「表面」にある画像情報。
- フレームバッファ: 画面に表示される映像の一コマ一コマが、ここに一時的に蓄積す。
- モデルデータ: ゲームのキャラクターや物体を構成する3次元のデータ。
- シェーダー: 光の反射や影の計算など、映像をよりリアルに見せるための情報。
もしVRAMがなければ、GPUはこれらのデータをその都度メインメモリから読み込み直さなければなりません。
VRAMがあることで、GPUは必要なデータを手元に置いておけるので、高速かつスムーズな映像描画が可能になるのです。
VRAMが少ないとどうなるか?
VRAMの容量が不足すると、パソコンの映像処理能力に様々な悪影響が出てきます。



RAMほどじゃないけど、それでも快適性が失うから!
容量不足で映像が乱れる
VRAMの容量が足りなくなると、必要なテクスチャデータなどをすべて保存しきれなくなります。
すると、GPUはVRAMに収まらなかったデータを、より低速なメインメモリ(RAM)に退避させたり、読み込み直したりする作業が必要になります。
その結果、映像の表示が遅れたり、高解像度のテクスチャがうまく読み込めず、映像がぼやけて表示されたり、画面がカクカクしたりすることがあります。
これは、描くべき絵の情報がスケッチブックに収まらず、いちいち別の場所から探しに行っているような状態ですね。
フレームレートが落ちる
ゲームをプレイしているときに、「カクつく」と感じることがありますよね。
これは、映像がスムーズに表示されていない状態です。
VRAMが不足すると、GPUはデータのやり取りに時間を取られてしまい、1秒間に描画できる画像の枚数(フレームレート)が低下します。



簡単に言うと臨時駐車場を使わず終えないということ。
でもこれをすると周辺が渋滞しやすくなるというようなもの。
フレームレートが落ちると、映像がコマ送りのようになり、滑らかな動きが失われてしまいます。
特に、ゲームや動画編集といった、高速なグラフィック処理が求められる場面では、VRAM不足は致命的です。
VRAMが多用される場面
では、具体的にどのような場面でVRAMが重要になってくるのでしょうか?
生成AIの画像、映像
最近話題の画像生成AIや動画生成AIは、膨大なデータを処理するため、多くのVRAMを必要とします。
例えば、「猫が宇宙を飛んでいる絵」をAIに生成させる場合、AIはたくさんの猫や宇宙の画像を学習データとして読み込み、それらを組み合わせて新しい画像を生成します。
この処理を高速に行うには、VRAMの容量が不可欠です。VRAMが少ないと、生成に時間がかかったり、そもそも高品質な画像を生成できなかったりします。
高解像度ゲーム
4Kや8Kといった高解像度のゲームは、非常に多くのVRAMを消費します。
解像度が高くなればなるほど、画面を構成するピクセル(点)の数が格段に増えます。
例えば、フルHD(1920×1080)から4K(3840×2160)にすると、ピクセル数は4倍になります。



4Kは今となれば普及したけどそれでもハイエンドに限られる。
それに伴い、テクスチャデータやフレームバッファの容量も増えるため、大容量のVRAMが必須となります。
3DCGレンダリング、ゲーム制作
3DCGをレンダリング(コンピュータで画像や映像を生成すること)する作業や、ゲームを開発する作業でも、VRAMは非常に重要。



この手のジャンルはVRAM食いの要素の一つだよ
キャラクターの複雑な3Dモデルや、広大なゲームワールドのデータ、高精細なテクスチャなど、ゲーム制作には膨大なデータがつきものです。
これらのデータを効率的に処理するために、大容量のVRAMが求められます。
3DCAD
3DCAD(3次元コンピュータ支援設計)は、建築や製品のデザインなどを行うソフトウェアですが、これも多くのVRAMを必要とします。
複雑な部品の集合体である設計図をスムーズに表示したり、リアルタイムでモデルを動かしたりするためには、VRAMの容量が重要になります。
プロのデザイナーやエンジニアにとっては、VRAMの多いグラフィックボードは必須アイテムです。



しかもコンシューマーじゃとてもだが多く終えない場面も多いため業務用が使われる‼️
まとめ
VRAMは、パソコンの映像処理性能を左右する、非常に重要なパーツです。
- ビデオメモリとも呼ばれる、グラフィック処理に特化したメモリ。
- 容量が少ないと、映像が乱れたり、フレームレートが低下したりする。
- 生成AI、高解像度ゲーム、3DCG、3DCADといった、高いグラフィック性能を求める場面で真価を発揮する。
「パソコンの性能を上げたいけど、何から手をつければいいかわからない…」という人は、CPUやメインメモリに加えて、ぜひVRAMの容量もチェックしてみてください。特に、ゲームやクリエイティブな作業をするなら、VRAMは多ければ多いほど快適になります。